構造的側面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/20 10:26 UTC 版)
天然変性タンパク質は細胞の状況に応じてin vivoで多くの異なる構造へ適合し、構造またはコンフォメーションのアンサンブルを作り出す。 そのため、それらの構造は機能と強く関係している。しかし、天然状態で完全にディスオーダーしているタンパク質はわずかである。ディスオーダーの大部分は構造的タンパク質内の天然変性領域(IDR)に見つかる。天然変性タンパク質(IDP)という用語は、完全にディスオーダーしたタンパク質だけでなくIDRも含む。 タンパク質におけるディスオーダーの存在とその種類は、アミノ酸配列によって決定されている。一般的にIDPは、かさ高い疎水性アミノ酸が少なく極性があり電荷を持つアミノ酸が多いことで特徴づけられ、多くの場合疎水性が低いと表現される。この性質は水との良い相互作用をもたらす。さらに総電荷数の多さは、同じ電荷を持つ残基間の静電的反発のためにディスオーダーを促進する。このようなディスオーダー配列は十分に疎水性コアを埋めて安定な球状タンパク質へフォールディングすることができない。一部の場合では、ディスオーダー配列中の疎水性クラスターは共役したフォールディングと結合を行う領域を特定する手掛かりとなる。多くのディスオーダータンパク質には規則的な二次構造を全く持たない領域が存在する。これらの領域は、構造的なループとの比較で柔軟なループと呼ばれる。構造的ループは強固な構造を持ち1セットのラマチャンドラン角しか持たないが、IDPでは複数の角度が可能である。柔軟性という用語は構造を有するタンパク質でも用いられるが、ディスオーダータンパク質では異なる現象の記述のために用いられる。構造をとるタンパク質における柔軟性は平衡状態と結びつけられているが、IDPではそうではない。また、多くのディスオーダータンパク質には低複雑度領域(英語版)(わずかな種類の残基で大部分が占められている配列)が存在する。低複雑度領域はディスオーダーの強い指標となるが、その逆は必ずしも正しくない。すなわち、すべてのディスオーダータンパク質が低複雑度領域を有しているわけではない。
※この「構造的側面」の解説は、「天然変性タンパク質」の解説の一部です。
「構造的側面」を含む「天然変性タンパク質」の記事については、「天然変性タンパク質」の概要を参照ください。
- 構造的側面のページへのリンク