植生と野生動物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 22:04 UTC 版)
ヨセミテ国立公園には、日差しの強いチャパラルと呼ばれる低木林、マツ・モミ・セコイアの森、高山性の林地や草地など、ヨーロッパ系アメリカ人が入植する前の植生が保存されている。周囲の土地が伐採によって大きく変わってしまったのに対し、公園内には今も約9万1260ヘクタールの原生林が残っている。魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類といった脊椎動物は250種以上生息している。 ヨセミテの西境に近い、比較的標高の低い地帯には、ポンデローサマツ、サトウマツ、オニヒバ、ベイモミ、ベイマツ(ダグラスファー)、セコイアデンドロン(ジャイアントセコイア)などの針葉樹林が広がっている。その中にブラック・オーク(クロガシ)、キャニオン・ライブ・オークなどが散在している。比較的温和な気候や、多様な植生により、野生動物も数々生息している。この地域ではアメリカグマ、ボブキャット、ハイイロギツネ、ミュールジカ、マウンテン・キングスネーク、ギルバートトカゲ、シロガシラキツツキ、アメリカキバシリ、ニシアメリカフクロウ、また多種のコウモリが見られる。 より標高の高い地帯に行くと、針葉樹以外は少なくなり、カリフォルニアアカモミ(モミ属)、ニシシロマツ、ジェフリーマツ、ロッジポールマツ、たまにバルフォアマツ(マツ属)などが生えている。標高が高いことと、植生の変化が少なくなることから、生息する動物の種類もそれほど多くはない。ここで見られる動物としては、キンイロジリス、アカリス、フィッシャー、ステラーカケス、チャイロコツグミ、オオタカなどがある。爬虫類は少ないが、ラバーボア(ボア科)、ウェスタン・フェンス・リザード、ノーザン・アリゲーター・リザードなどがいる。 更に標高が高くなると、木々のサイズは小さくなり、間隔もまばらになってきて、木立と木立の間が、露出した花崗岩で分断されるようになる。ロッジポールマツ、ホワイトバークマツ(マツ属)、マウンテンヘムロック(ツガ属)なども、最も標高の高い地帯では生育が難しくなり、樹木限界線に達する。こうした地帯では、気候も厳しく、成長に適した季節も短いが、ナキウサギ、キバラマーモット、オジロジャックウサギ(ウサギ科)、ハイイロホシガラス、クロハギマシコ(アトリ科)などはそのような環境に適応している。また、樹木のない高原はシエラネバダ・ビッグホーン・シープが好む場所であるが、現在ではタイオガ・パス付近に少数いるだけである。 高度を問わず、草地(メドウ)は野生動物の重要な生息地となっている。草や水を求めて動物が集まり、更にその動物を捕食する動物が集まっている。草地と森林が接する地帯も、草をはむ開けた場所と身を守る場所の両方があることから、多くの動物が好んで集まってくる。主に草地に生息する動物には、カラフトフクロウ、メジロハエトリ、ヨセミテヒキガエル(ヒキガエル属)、ヤマビーバーがある。
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