植木枝盛の仏民法典批判
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「民法典論争」の記事における「植木枝盛の仏民法典批判」の解説
植木の民法論の本旨に関わるのは、ナポレオンが決して女性の保護者ではなかったという逸話である。 我輩は…法典の編纂すべきことを信ずる…外交のために…草案を社会に公示…もなさず、未だ国人をして十分に自由の言論を以てこれを討議することもなさず、世論…も揆(はか)らずして卒(にわ)かにその事を果たさんとする者あらば拍手してしかして賛すること能わざるのみ。…数年前より邦司法省において作成せられたる民法草案もし親族編に至りては…仏律に学ぶことを潔しとせざるもの無きにあらざるなり。拿破崙(ナポレオン)…かつて叫んで曰く、 「天性より論ずれば婦人は即我が奴隷なり…妄りに男女同権の説を唱うる汝等婦人の思想はこれ狂暴なり。何となれば婦人汝等こそすなわち我輩男子の所有物なれ我輩丈夫は決して汝等婦人の所有物に非ざればなり」と。 — 植木枝盛「如何ナル民法ヲ制定ス可キ耶」『国民之友』1890年(明治23年)8月(家永三郎編『植木枝盛全集』岩波書店、1974年、189-198頁) 畢竟(ひっきょう)するに彼の拿破崙(ナポレオン)法律の若(ごと)きは決して真に自由平等の主義に基きて編成されたものにあらざるなり。専制主義を以てする羅馬法の法律に因襲し、而して平等自主に反する拿破崙の布令布達を綴り合はせたるに過ぎざるのみ。 — 植木枝盛「民法上ニ就キ男女ノ不同権ヲ論ス」『土陽新聞』1887年(明治20年)1月 妻が契約主体となることを禁じる仏民法(旧)1124条、夫に夫婦共有財産の支配・処分権を認める同1421条などが例に挙がっている。
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