柵原鉱山の鉱床
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 23:19 UTC 版)
柵原鉱山の主要鉱床は、ほぼ吉井川沿いに分布する柵原本鉱床である。柵原本鉱床の最上部は柵原集落付近で地上に露出しており、地上付近の鉱床は酸化作用によって褐鉄鉱となっている。柵原本鉱床は柵原集落付近の露頭から南東方向に約10度の角度で地下に入り、地上に一番近い第一鉱体、続いて第二鉱体、第三鉱体、下部鉱体という4つの鉱体が連なっている。本鉱床の厚さは最大100メートル、幅400メートル、長さは4つの鉱体の合計で約2000メートルに達し、鉱石の埋蔵量は第一鉱体約540万トン、第二鉱体約310万トン、第三鉱体約780万トン、そして下部鉱体は約1890万トンという大きな鉱床であった。第一から第三鉱体は、標高99.5m(L-0)から海面下72.6m(L-10)に分布する。第一鉱体は山の中に存在するが、第二鉱体は吉井川と同レベルに位置し、第三鉱体は海面下の存在である。下部鉱体は第三鉱体に連なって深度を増し海面下237mから374mに存在する。一方下部鉱体の更に南側の深部には深部鉱床があり、海面下637mから918mに分布する。深部鉱床の鉱床は、厚みは他の鉱床と比べて薄いが、磁硫鉄鉱や磁鉄鉱が多く産出された。柵原本鉱床と深部鉱床の連なりから見て東側には高原、金堀、宝殿、休石、火の谷、西側には下谷、火田城、久木、下柵原という小鉱床が分布している。各小鉱床の主要鉱物はやはり黄鉄鉱を中心とした硫化鉄鉱であるが、西側の小鉱床と東側の火の谷鉱床は鉱石中の銅の含有量が高いという特徴があった。 柵原本鉱床は半岩盤が硬いため採掘が比較的容易であり、また産出される黄鉄鉱を中心とした硫化鉄鉱の品位が高く、鉱床内の夾雑物も少ないなど、極めて良好な鉱床であった。
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