林家伝の『訓閲集』の内容
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林家伝の『訓閲集』がオリジナルとしての当書と異なる内容と言えるのは、戦国風といった時代に合わせて改めて加筆しているところにあり、例えば、巻二には、「足軽備えの陣」という名称が記されている他、巻四「戦法」の船戦の項では、兵船の壁に、対火矢として鉄網を張り、対鉄砲として竹束を張る工夫が記され、巻八「甲冑・軍器」には、戦国期に普及した「面頬」(古代日本には見られない)といった防具が絵図と共に記述され、巻九「軍器」に至っては、対鉄砲用の防具たる「車竹束」の絵図がある(鉄砲・槍に言及した記述もある)。このように陣名(対する陣)・甲冑・武具に至るまで、新たに記されている。 また、川中島の戦いにおいて、「上杉謙信が武田本陣に斬りかかり、武田信玄がこれを軍配団扇にて防ぐ」といった後世に広く知られる演出が記述されたのも、林家伝の『訓閲集』が初見とされている。加えて、林家伝の『訓閲集』は12巻しか無い(大江家のオリジナルに近い『訓閲集』は120から成る)。 巻一「発向」、巻二「備え與」、巻三「斥堠」、巻四「戦法」、巻五「攻城・守城」、巻六「士鑑・軍役」、巻七「築城」、巻八「甲冑・軍器」、巻九「軍器」、巻十「実検」、巻十一「日取り」、巻十二「気伝」の内容から成る。 「日取り」の巻が陰陽思想に基づき、「気伝」では、建物上に昇る気の形(『甲陽軍鑑』にも同様に敵城の上に昇る気を調べる記述がある)や吉凶などを読む点で、オリジナルの要素を含む(これらの思想に基づき、予測、分析、士気、天候を練った)。
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