本文(matn)への批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 15:06 UTC 版)
「ハディース批判」の記事における「本文(matn)への批判」の解説
ブハーリーをはじめとする伝統的ハディース学者たちが、数多く存在した捏造ハディースの中から真正な「核心」にまで絞り込むことに成功したかどうかは議論の余地がある。中世の法学者で著名なハディース学者でもあるナワウィーは、最も信憑性の高い二大ハディース集(サヒーフ・アル・ブハーリーとサヒーフ・ムスリム)の中で「多くの学者が、これらの著作の収集者が想定した検証条件を満たしていない、多くのハディースを発見した」と述べており、ヨーロッパの学者ジョセフ・シャハトは、「古典的コーパスでさえ、信憑性の極めて低い、非常に多くの伝承が含まれている」と主張している。 ムハンマド・アルガザーリーは、彼の著作「Al-Qanun al-Kulli fi al-ta'wil」の中で、いくつかのハディースに見られる問題点について、匿名の「質問者」からの質問を取り上げているが(p.98-100)、その中には次のものがある。「『サタンはあなた方の血管の中を走っている』(P.99)『サタンは糞尿と骨から栄養をとる』『楽園は天地ほども広い』はずだが、その二つの範囲内のどこかに含まれているはずではないか?」(p.100) それより数世紀も前、ムゥタズィラ学派がこうしたハディースに異議を唱えていたが、スンナ派の学者たちは、神の啓典に対し理性を働かせたために生じた誤りだとして、これを退けた。15世紀の中世のイスラム学者イブン・ハジャル・アル=アスカラーニーは、 神がアダムを創造したとき、その身長は60腕であったが、アダムが堕落した後、「人類はその時から縮小し続けている」 と述べる上記のハディースを目にしたとき、古代人はそれと同等の身長だったのではないかと考え、ハディースの信憑性を疑うことなく、「今日に至るまで、この問題を解決する方法は見つかっていない」と率直に認めている。しかし、西洋の自然科学やテクノロジーの台頭により、一部のイスラム教徒は別の結論を出したのである。 批判家たちは、ハディース捏造を正当化するシャーフィイー後の時代の誰かよりも、預言者が言うことのようには思えないハディースを批判している。それらは以下である。 「私が実際に言ったかどうかにかかわらず、クルアーンと一致する言葉であるなら、それは(実際に発言でなくとも)私に帰属する」 「巷のあらゆる良い言葉は、私が言ったものだ」 Joseph Schachtは、非常に多くの矛盾したハディースが存在する原因は、「矛盾した教義や慣習への反論として使用するため」に捏造されたハディースである可能性が高いと主張している。
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