木野村英之介との出会い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 06:13 UTC 版)
「中城ふみ子」の記事における「木野村英之介との出会い」の解説
失意の中、帯広に戻った直後、ふみ子に愛が芽生えることになる。ダンス好きのふみ子はダンスホールに良く出入りしていて、そのような中でダンス講師の手伝いをしていた木野村英之介と出会ったのである。木野村英之介はふみ子を辛夷短歌会へと誘った帯広高等女学校時代からの友人、木野村晴美の弟で、ふみ子よりも7歳年下であった。ふみ子は夕方になると華やかなドレスを身にまとい、ダンスホールへと出かけていく。周囲は野江家の出戻り娘は幼子を放っておいて毎晩ダンス三昧と噂をしていた。その上、7歳年下の男性との親密な交際が始まったのである。たちまちふみ子と木野村英之介との関係は帯広の町にスキャンダルとして広まっていった。 たまりかねたのが木野村英之介の姉、晴美であった。晴美はふみ子を「辛夷短歌会」に誘った人物であり、当然、ふみ子と大森卓とのいきさつを熟知していた。木野村晴美はつてを頼り、二人の仲を切り裂こうとした。帯広では名家であった木野村家もふみ子と英之介との交際は反対であった。一方、ふみ子の両親は交際に理解を示し、結婚の許可もしていた。しかしふみ子の2人の子は英之介との折り合いが悪かった。長男の孝は母、ふみ子から「再婚してもいい?」と聞かれたが、はっきり「嫌だ」と答えたという。長女の雪子も英之介を嫌っていた。結局、ふみ子と木野村英之介が結婚することはなかった。 年下の木野村英之介は酒もタバコもやらない真面目な青年であった。交際を続ける中でふみ子は真面目な木野村に飽き、厄介に思ったこともあった。しかし死を目前に入院治療をしていた際にふみ子が別れを切り出すまで交際は続き、木野村英之介はふみ子のことを支え続けた。 音高く夜空に花火うち開きわれは隈なく奪われてゐる 夜、花火が打ちあがる中、恋人、木野村英之介に体を与える情景を大胆に詠み込んだこの歌は、中城ふみ子をモデルとした渡辺淳一の小説『冬の花火』の中でクライマックス場面として取り上げられている。
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