有毒説、無毒説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 02:40 UTC 版)
一部にダイオキシンが有毒であるという根拠が科学的ではないとする論議がある。セベソでのダイオキシン類暴露事故においては、当日の家畜大量死、翌年の流産率の急増、女子出生への偏りなどが報告されたものの、事故直後では人間の死者と奇形出産が出なかった事から、対人間無毒説の根拠とされる。 また、当初はダイオキシンの高い急性中毒性について議論されていたが、いつの間にか慢性毒性や発がん性に話がすり替わっているというような、研究者の非科学的態度もダイオキシンが有毒であるという論への懐疑的要因である。 ダイオキシン類の毒性発現機序は低濃度ではおもにアリール炭化水素受容体(arylhydrocarbon receptor)と結合することで発現すると考えられている。ダイオキシン類とアリール炭化水素受容体との親和性は種差があることが知られており、ヒトのアリール炭化水素受容体とダイオキシン類との親和性は他の動物に比べ低いことから、ヒトがダイオキシン類の毒性について感受性の低い根拠の一つになっている。しかし実験動物では進んでいるものの、ヒトにおける発癌性・内分泌攪乱作用とアリール炭化水素受容体の役割について詳細には判明していない。 一方、アリール炭化水素受容体を介さない毒性発現も存在すると考えられており、おもに高用量での毒性発現と関係していると考えられている。 実際にダイオキシンが毒殺目的で人間に大量に与えられた事例があり、有名なところではウクライナ大統領候補だったヴィクトル・ユシチェンコの毒殺未遂事件がある。しかし、皮膚に湿疹などの異常がでたが、ダイオキシンの高い急性中毒性については、否定される結果になっている。
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