有人戦闘機無用論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/21 06:39 UTC 版)
詳細は「ミサイル万能論」を参照 1950年代に現れた戦闘機無用論は、ジェット機の高速化、ミサイル技術の発達からミサイル万能論を生み、従来の有人戦闘機を無用視する主張である。 ミサイル万能論によって、対空ミサイルで侵入機を撃破できるので戦闘機は必要なくなる、戦闘機はミサイルを装備することで従来の格闘戦は必要なくなると考えられていた。そのため戦闘機は速度偏重となり、装備もミサイルだけで機銃が外されるものも現れた。 1958年、第二代航空幕僚長佐薙毅の時にFX機種選定問題が起こった際、政治問題にまで発展したが、1959年、第三代航空幕僚長に就任した源田実が官民合同の調査団を結成、調査団長として渡米してF-104を選んだ。源田はアメリカから機銃は必要ないとミサイル万能論を説いたが、戦闘機の至近距離での攻撃や運動性の高さによる回避運動などを考慮してF-104に機銃装備を施した。この時、野党側は「ミサイル時代に戦闘機は無用だ」と有人戦闘機無用論を唱えて「決定を白紙還元せよ」と非難した。 しかし、1960年から始まったベトナム戦争の経過によって、ミサイルは運動性の高い戦闘機を捕えることが困難であり、格闘戦も発生することが判明して、機載機銃、格闘性能の重要性が再認識された。ベトナム戦争終結後である1977年の防衛年鑑には、「ひところのような有人戦闘機無用論は姿を消しているが、とにかく、科学技術の急速な進歩によって航空機の能力は著しく向上されてきており、将来における航空機の様相は大きく変えられようとしている」とあり、この頃にはすでに立ち消えている。 また、21世紀に入り、コンピュータ技術の発達によって管制施設から操作する無人機が登場して、従来の有人戦闘機が必要なくなるという主張がふたたび現れている。
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