最高裁判所との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 23:19 UTC 版)
ある事件の判決に含まれた判断について、最高裁判所の判例がなく、大審院の判例に相反するときには、民事訴訟法では上告受理の申立て・許可抗告の対象となり、刑事訴訟法では上告申立理由となると同時に、変更されていない大審院の判決は現在においても判例とされる。 大審院が裁判の独立に果たした役割・努力は、歴史上、無視できないが、制度上の位置付けは最高裁判所に比べ低かった。最高裁判所は、日本国憲法により、司法行政監督権・規則制定権・違憲立法審査権などの権限を与えられているが、大審院にはこれらの権限がなかった。司法行政権は司法大臣に属しており、大審院は下級裁判所に対して司法行政上の監督権を持たなかった。 大審院長は親任官であるが、国務大臣より低い位置付けであり、大審院判事は最高裁判所裁判官のような権威のある存在ではなかった。部長判事は一般官庁の次官並、一般判事は局長ないし課長並の俸給であった。最高裁裁判官は法曹界で名をあげた高齢者が任命されるが、大審院判事は壮年の働き盛りの者が任命されやすかったとされる。ただし、退任後に貴族院勅選議員から枢密院や内閣総理大臣の職を得た平沼騏一郎のように、親任であったことを利用して後に権力を拡大した例もある。 現在の最高裁判所裁判官(長官及び判事)は15名だが、大審院判事は1919年(大正8年)から1941年(昭和16年)までが47人、1942年(昭和17年)には37人、1946年(昭和21年)には31人だった。なお、最高裁判所裁判官は定員が極端に少ないため、最高裁判所裁判官の職務を補佐する役職として39名の最高裁判所調査官が存在している(2014年現在)。
※この「最高裁判所との比較」の解説は、「大審院」の解説の一部です。
「最高裁判所との比較」を含む「大審院」の記事については、「大審院」の概要を参照ください。
- 最高裁判所との比較のページへのリンク