星雲_(雑誌)とは? わかりやすく解説

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星雲 (雑誌)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/17 08:21 UTC 版)

星雲』(せいうん)は、1954年(昭和29年)12月に創刊された日本で最初のSF雑誌である。1号のみで終わったが星雲賞に名前を残している。

概要

『星雲』は1954年12月に森の道社から発行された。発行人は第二次世界大戦前に『科學ペン』誌に小説や随筆を寄せていた太田千鶴夫で、森の道社の事務所も太田の自宅だった[1]。表紙には「科学小説雑誌」「Science Fiction」と銘打っていた。A5版172ページ[2]。編集スタッフとして、太田の他に矢野徹、木村生死らが名を連ねた[3]

創刊号に収録された作品は、ロバート・A・ハインラインジュディス・メリルらの翻訳短編が中心となっている[2]

刊行された当時は星新一小松左京筒井康隆ら日本SF界の重鎮はまだデビューもしていない時代で、『星雲』発行人の太田千鶴夫は同時に1954年10月に設立された日本科学小説協会の理事長も兼ねており、誌面で趣意書を掲載し、科学小説の創作を行う会員の募集も行われていた。役員には矢野徹原田三夫らの名も連ねられていて[4]、読者だった柴野拓美はこれに応募したが、同協会のその後の活動はなかったという[5]

第2号からは翻訳権を取得したオルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」の連載を予告していたものの、取次とのトラブルにより創刊号のみで廃刊となった[3]。1号のみに終わったが、日本SFの歴史における最初期のSF専門雑誌として評価され、廃刊後も日本SF大会の席上で参加者の投票により前年度の優秀なSF作品に授与されるSF賞「星雲賞」として名を残している[2]

原本は稀少本となっており、大部分は日本国外のSFマニアの手に渡っている[6]

掲載作品

創刊号目次[7]

  • 米ソ科学小説傑作集
  • 異邦の女
    • 清水安三「アマゾナの友」
    • 杉田揚太郎「異邦の女」
    • 半谷高雄「ロンドンの女車掌」
    • 市瀬正幸「ひとりのドイツ人」
  • 寺尾新「動物も民族性に感染する」
  • 香山滋北京原人の行衛」
  • 千代田明鏡「科学小説の書き方入門」
  • 木村生死「文学としての科学小説」
  • 小堀憲エヴァリスト・ガロア
  • 地球緑山(木村生死)「失われた地球爆弾」
  • 横堀純夫「虹の入り江」
  • 千代有三(鈴木幸夫)「白骨塔」

日本科学小説協会役員

参考文献

出典

  1. ^ 長山靖生『日本SF精神史 幕末・明治から戦後まで』河出書房新社、2009年、p.178
  2. ^ a b c 横田順彌『SF大辞典』角川文庫、1986年、pp.189-190
  3. ^ a b 横田順彌『日本SFこてん古典(II)』早川書房、1980年、pp.90-93
  4. ^ 長山(2009)、pp.178-180
  5. ^ 牧眞司編「柴野拓美年譜」『S-Fマガジン』2010年7月号、p.231
  6. ^ よしだまさし「星雲入手秘録ガラクタ風雲内
  7. ^ 捌書日誌紹介書籍 No.2 科学小説雑誌「星雲」”. 高橋新太郎文庫. 2024年11月17日閲覧。
  8. ^ 木村生死『ラジオ・テレビの英語』研究社出版〈時事英語シリーズ〉、1963年11月15日、93頁。doi:10.11501/2502282 「ロバート A. ハインラインの「地球の山々は緑」(The Green Hills of Earth)という短篇小説」「実はこの小説のほん訳権を最初に獲得して,日本の最初の科学小説専門雑誌『星雲』(1954年12月10日発行)に発表したのは私なのである.」

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