旧法の公益法人の要件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 12:59 UTC 版)
「法人 (日本法)」の記事における「旧法の公益法人の要件」の解説
改正前の民法34条では「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其他公益ニ関スル社団又ハ財団ニシテ営利ヲ目的トセサルモノハ主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」と定められていた。改正前の民法上の公益法人の要件は、1.公益に関する社団または財団であること、2.営利を目的としないものであること(非営利であること)の2点である。 「営利」は物質的利益を法人の構成員に分配することをいう。「非営利」は収益を社員(法人それ自体の構成員)や会員、寄附者などの関係者に分配しないという意味である(もちろん、法人活動を維持するための給与支払いなどは可能である)。法人が物質的利益を得る活動をしても法人の構成員に分配しない限り営利とは言えない。 「公益」は不特定多数の利益を図ることをいい、民法では「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸」が例示されていた。「公益」は団体外の利益に対して奉仕することであり、団体それ自体の利益を追求する「私益」と対比されるとされるが、具体的には下記「公益法人として適当でないもの」に記載の「指導監督基準」とその「運用指針」において「積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするもの」とされ、公益法人とはそれを主目的とするものとされている。 1996年(平成8年)に制定された「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(いわゆる「指導監督基準」;9月20日閣議決定)においては以下が例示された。 目的公益法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならず、次のようなものは、公益法人として適当でない。 同窓会、同好会など構成員相互の親睦、連絡、意見交換等を主たる目的とするもの 特定団体・職域の者のみの福利厚生等を主たる目的とするもの 後援会など特定個人の精神的、経済的支援を目的とするもの — 「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び 「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」について (Report). 総務省. (1996-09-20). https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/daijinkanbou/kanri/pdf/kijun.pdf. ただし、その運用指針(12月19日公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会申合せ)では「公益性の一応の定義として『不特定多数の者の利益』としているが、これは厳密に不特定かつ多数の者の利益でなくてはならないとの意味ではなく、受益対象者が当該公益法人の構成員等特定の者に限定されている事業を主目的とするものは、公益法人としては不適当という意味である。」としており、主務官庁職員など、特定団体・職域の者のみの福利厚生を従たる目的とすることは禁止していないため、各種弘済会などでは「〜の振興」「〜の普及」などを目的の第一に掲げ、「〜職員の福祉」を第二に掲げるところが多い。
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