旧来の形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/21 01:35 UTC 版)
ここで述べる特徴は旧来の南部アメリカ英語の特色であり、若い世代の会話ではこのような特徴が表れることは少ない。 オーストラリア英語やイギリス英語のように、ディープサウス沿岸の英語は歴史的にnon-rhoticである:子音や語が接続する前の最後の /r/ 音は欠落する。そのためguard(ガード、守る)はGod(ゴッド、神)に似た音となり(ただし前の音が後ろの音よりも長い母音である場合)、sore(ソーァ、痛い)はsaw(ソー、見た)のような音になる。二つの母音の間に /r/ 音が挿入される(例:"lawr and order")というIntrusive /r/は南部アメリカ英語沿岸の特徴ではない。これはその他の多くのnon-rhoticアクセントと同じである。今日ではニューオーリンズやアラバマ州モービル、ジョージア州サバンナ、ヴァージニア州ノーフォークのような地域にしかnon-rhoticの話者はいない(Labov、Ash、Bomberg 2006: 47-48)。Non-rhoticityはほとんどの南部アクセント地域で急速に消滅していて、東海岸のニューヨークやボストン訛りのようなその他の伝統的なnon-rhotic方言よりも消滅の程度が激しい。non-rhoticを使い続ける南部アメリカ英語話者も、ニューイングランドやニューヨークのようにintrusive rを使うようになっている。 /ɹ/ → 0 | before /+con/ /ɹ/ → 0 | before # caught(コート、捕まえた)とcot(カート、簡易ベッド)またはtalk(トーク、話す)とtock(ターク、けつ)のような語の区別が大部分は保たれている。ディープサウスの多くで、talkとcaughtのような語の母音は二重母音(タウク、カウト)に展開してきた。これはアメリカ北部でloud(ラウド、うるさい)を二重母音で発音するのと同じようなものである。 horse(ホース、馬)とhoarse(ホース、しわがれ声の)、for(フォー、ために)とfour(フォー、四)などのような/ɔr/と/or/の区別が保たれている。 wine(ワイン、葡萄酒)とwhine(ホイン、哀れっぽく泣く)の混同は起こらず、それぞれ/w/と/hw/で発音される。 yod-droppingの欠如。例えればdo(ドゥー、する)/due(ドュー、当然与えられるべき)やloot(ルートゥ、戦利品)/lute(ルュートゥ、リュート)のような語のペアの発音の違いは明瞭である。歴史的に、dueやluteやnewのような語は/juː/を含んできた(容認発音と同様)。しかしLabovとAshとBoberg (2006: 53-54)は、今日では南部話者しか二重母音/ru/を使ってそれらの語を区別しないと報告している。彼らはさらに、これらの区別をする話者は、ノースカロライナ州やサウスカロライナ州北西部、ミシシッピ州ジャクソン、フロリダ州タラハシーで最初に見つかったのだとも報告している。 marry(マリー、結婚する)とmerry(メリー、陽気な)とMary(メアリー、人名)の中にある/ær/と/ɛr/と/er/の区別が年配世代ではまず保たれている。若い世代ではほとんど区別されない。r音はほぼ母音になるが、AAVEのような長母音の後ではまず省略される。
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