旧来の定式化に対する優位性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/25 14:13 UTC 版)
「ダニエル積分」の記事における「旧来の定式化に対する優位性」の解説
この方法で構成される一般の積分は、特に函数解析学の分野において旧来のルベーグ式の積分に対するいくつか優位な点を持つ。既に述べたように、基本函数として有限個の値をとる通常の階段函数をとって得られるダニエル積分の構成は、ルベーグ積分の構成と同値である。しかしながら、積分をより複雑な函数に対してまで拡張するとき(例えば、線型汎函数の積分を定義しようとしたとき)、ルベーグの構成を用いる際に生じる困難を、ダニエル積分の方法は緩和することができる。 ポーランドの数学者ミクシンスキーは、さらに別のより自然なダニエル積分の定式化を、絶対収斂級数の概念を用いて行った。ミクシンスキーの定式化はボホナー積分(バナッハ空間に値をとる函数に対するルベーグ式の積分)に対しても通用する。ミクシンスキーの補題を用いれば、零集合に言及することなく積分が定義できる。ミクシンスキーはまた、ボホナー積分に対する多重積分の変数変換定理とボホナー積分に対するフビニの定理とをダニエル積分法を用いて証明した。(Asplund & Bungart 1966) では、実数値函数に対してこの方法による明快な取り扱いがなされており、またダニエル=ミクシンスキーの方法を用いた抽象的ラドン=ニコディムの定理の証明が提示されている。
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