ダニエル積分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/08 14:27 UTC 版)
数学の微分積分学周辺領域におけるダニエル積分(ダニエルせきぶん、英: Daniell integral)は、初学者が学ぶリーマン積分のようなより初等的な積分の概念を一般化した積分法の一種である。旧来のルベーグ積分の定式化に関して主な障害となっていたのは、積分に対する十分な結果を得るまでに、まずは満足な測度論を展開する必要があったことである。しかし、Percy J. Daniell (1918) ではこの欠点に悩まされることのない別な手法がとられ、旧来の定式化(具体的には、積分の高次元化やさらにスティルチェス積分への一般化など)に対するいくつか特徴的な優位性を見せた。基本的な考え方には、積分の公理化が含まれる。
ダニエルの公理系
ある集合 X 上で定義される有界な実函数の族 H で以下の二つの公理を満たすものをとる(そして H に属する函数を基本函数 (elementary function) と呼ぶ)。
- H は通常の(点ごとの)加法とスカラー倍に関して線型空間を成す。
- 函数 h が H に属するならばその各点の絶対値をとって得られる函数 |h| も H に属す。
さらに、H の各函数 h に対して h の基本積分 (elementary integral) と呼ばれる実数 Ih を対応させる。ここで基本積分は次の三つの公理を満足するものをいう。
- 線型性: h, k がともに H の元で、α, β が実数ならば
- ダニエル積分のページへのリンク