日本軍用手票の性格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 16:39 UTC 版)
岩武照彦(1980)は、以下の様に分析している。 軍票の性格について、有賀長雄は徴発証券説をとり、軍票は貨幣ではなく徴発物件および労力に対して国際法規に基づき占領軍の公布する証券であるとの説を採る。これはハーグ条約附属陸戦法規規則52条3項に根拠をもとめているが、軍票は同規定にいう現金ないし現地通貨ではないが、定額証券なので「受取証」とは言い得ない。森武雄(元陸軍主計中将)は「軍票なる特殊の貨幣代用券」とし、津下剛は日清日露戦争時の軍用手票について「日本政府が満州の占領地に於いて発行した紙幣」と規定する。大蔵省理財局は軍票の法律的性質を次のように説明している。 法律ノ根拠ニ基クモノニ非ズ且法律上ノ強制通用力ヲ有セザルヲ以テ厳格ナル意義ニ於ケル通貨ニハ非ザルモ 無期間、無利子、無記名ノ定額証券ニシテ債務者ガ之ニ依ル支払ヲ受諾スル限リ有効ナル弁済ヲ為シ得ルモノナルヲ以テ 専ラ国外ノ派遣地ニ於ケル軍費支払ノ便ニ供セラレ且法律上ノ強制通用力ヲ有セザル政府発行ノ兌換紙幣ニ準ズル性質ヲ有スルモノト謂フコトヲ得ベシ 華中で一般通貨として使用されつつあったことに関しては以下のようにしている。 現ニ事実上一般通貨トシテ流通スル以上之ニ依リ軍費支払ノ円滑ヲ期シ得、従テ軍費支払ノ便ニ供スルト謂フ軍用手票発行ノ本来ノ目的ヲ達シ得ルモノト謂フベク決シテ其ノ本質ニ反スルモノニ非ズ
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