日本・世界経済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/04 16:03 UTC 版)
安い労働力を理由に生産拠点を中国国内に設け日本やアメリカなど諸外国に輸出していた繊維・機械などの産業は競争力が低下すると見られている。軽加工品は単価が安くコストの上昇分を価格に転嫁しづらいため、中国から南アジアや東南アジアといったより労働力の安い新興国へと、生産拠点の移転などの対策を迫られるような事態を招く可能性がある。この事は、前述のアメリカの貿易赤字解消に対して懐疑的な見方を示すグリーンスパンFRB議長の「元を切り上げて中国からの輸入が減っても、(インドやベトナムなど)次の中国が出てくるだけ」との言葉にも裏打ちされている。 人民元高に連動した円高・ドル安の進行による、欧米に輸出している企業への影響も懸念されている。円高・ドル安により輸出企業の競争力が低下し輸出が減少、日本の景気を停滞させる一因となるというものである。 また、元高で原油の輸入価格が下がり購買力が増すと、中国の消費者の原油需要が上向くため、それを見越した投機筋が原油を買い進める動きが強まり、原油価格がさらに高騰するという見方もある。原油だけでなく、鉄鉱石や穀物などでも同じような動きが広まる可能性がある。 一方、中国が通貨制度に柔軟性を持たせ、市場メカニズムを通じて加熱気味の国内経済をソフトランディングできれば、日本の輸出企業や現地に進出している企業は利益を継続的に享受できるため、日本の景気が踊り場から脱却する一助ともなりうる。また、中国からの輸入品の価格高騰は日本国内のデフレの解消にもつながり、中国へ輸出している企業の競争力の向上につながれば輸出が増加する、などのメリットも見込まれている。
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