日本のソウギョ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 04:21 UTC 版)
日本では、1878年(明治11)以降に他の四大家魚とともに日本人の蛋白源として日本列島内に導入が図られ、各地の川や湖沼に放流された。利根川水系への移植は、食糧難の解決のため1943年(昭和18年)と1945年(昭和20年)の2回で併せて2万3千尾、全国へは370万尾が放流された。また、戦後の農業形態の変化に伴って、湖沼に繁茂する水草が農業肥料などとして利用されなくなり、その繁茂を嫌った世論もあって各地で湖沼の水草を制限する意図で利根川水系産のソウギョが各地に放流された。 少なくとも1978年(昭和53年)時点のソウギョの評価は「川の掃除屋」であり、エサ代不要、急成長、二百カイリ規制無しの結構づくめの存在として新聞に持ち上げられていた。 しかし巨大に成長したソウギョは旺盛な食欲で各地の湖沼の水草を食いつくし、水草帯を生息地とする在来魚や水生昆虫の生息を脅かすなど生態系に深刻な悪影響を与えることが認識されるようになった。かつて水草の繁茂する湖だった長野県の野尻湖は、ソウギョの放流後水草が激減し、現在では網で囲った保護区域を除きほとんど見ることができない。当然水草の減少要因がソウギョだけでないとしても、ソウギョの放流と水草の減少が同期していることから鑑みれば、食害が原因である可能性は高い。また、水草を消化吸収した後に出す膨大な糞が湖沼底に堆積し、却って水質汚濁の原因ともなることが理解されるに至ったため、自然環境に好ましくない負荷をかける外来種と認識されるようになった。長野県木崎湖では、キザキフラスコモ(学名: Nitella minispora Imahori)が食害の結果、絶滅したことが報告されている。 利根川、江戸川以外では繁殖できなくとも、ソウギョ自体の寿命や放流の継続により、これらの影響は長く続くと考えられている。
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