新訳と旧訳の比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 15:12 UTC 版)
2003年から2005年にかけて創土社から新訳版が出版された。作品ごとに翻訳者が異なる東京創元社版とは違い、全作品を社会思想社版『FF』で複数の翻訳を担当した浅羽莢子が訳している。旧訳版では一部の重要な謎解きのヒントが訳文に反映されていなかったが、新訳版ではそれが解消されている。浅羽は「常に、英語圏の読者が読んだときの印象になるべく近いものを伝えたいと思っている」と語っている。新訳版の特徴は以下の通り。 旧訳に比べ文語調である 「できぬ」「おらぬ」のように打消しの助動詞に「ない」ではなく「ぬ」を用いている。これは、剣と魔法の時代という雰囲気を出すための措置である。 カタカナ語を避ける 例えば旧訳の「ヒルジャイアント」は「丘巨人」となり、「サイトマスター」は「物見」と訳される。 単純な音訳を避ける理由は第一に、英語が存在しない仮想世界で元が英語とわかる事物名が使われているのは不自然であるから。第二に、作者の創作した名称に込められた意味が(英語を理解できる読者でない限り)伝わらなくなるからである。 ただしトロールやハーピーのように、認知度が高い架空生物はそのままの名前にしてある。 時制をいじらない 原文どおり常に現在形で表現され、臨場感や緊張感をもたらしている。 文中の情報提示の順序も原文に近づけている 節で構成される英文を日本語に翻訳する場合に時折見られる、主節の情報を従属節のあとに置くような事態を避け、原文同様に主節の情報→従属節の情報という流れを保ちながら、なおかつ自然な日本語の文章になるよう配慮されている(例 : 第2巻パラグラフ57)。 なお、新訳版の各巻のタイトルは特に旧訳版を意識することなく定められている。第3巻の題名だけが新旧とも合致しているのは、単に結果としてそうなっただけであり、意図的なものではない。
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