新製車との差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 20:00 UTC 版)
63系改造車は、性能面では一般に72系新製車に劣っていた。 主電動機は、新製72系と同様にMT40(端子電圧750V時定格出力142kW)を搭載しているものが大部分であったが、ごく一部に旧式なMT30(端子電圧675V時定格出力128kW)搭載のものがあった。端子電圧差(戦前には電圧降下を前提に、架線電圧を1,500Vの1割減である1,350Vとして設計していた)を考慮すると事実上同一出力であるものの、過負荷への耐性では独立した冷却ダクト付で冷却効率の良いMT40の方が有利である。 主制御器は、戦前以来の電空カム軸式CS5が大部分で、電動カム軸式CS10搭載の72系新製車と比べると、制御段数の少なさや作動性の面で劣った。特にCS10では直並列切り替えに橋絡渡りが導入されて切り替え時の出力変動が少なく衝動が大きく軽減されており、乗り心地面での影響は顕著であった。両者は制御シーケンスを揃えてあり混結が可能であったが、電空変換を行うCS5の作動が遅れて加速時にCS10搭載車の主電動機に負担をかけ、故障発生の原因となる傾向が強かったため、混在して配置されていた電車区では編成単位で搭載制御器を極力揃えるようにして対処していた。 台車は、旧式なペンシルバニア形のDT13が大半で、乗り心地はあまり良くなかった。 接客設備についても、元来が戦時設計車を安全対策面重点に改装したのみの車両であり、新製車に比して居住性が劣るのはやむを得なかった。
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