新疆ウイグル自治区における出生率の低下
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 05:55 UTC 版)
「ウイグル人大量虐殺」の記事における「新疆ウイグル自治区における出生率の低下」の解説
中国政府の統計によると、2015年から2018年にかけて、ウイグル人が多く住む地域であるホータンとカシュガルの出生率が60%以上低下している。同時期に、国全体の出生率は1,000人あたり12.07人から10.9人へと9.69%減少した。中国当局は、新疆ウイグル自治区で2018年に出生率が3分の1近く低下したことを認めたが、強制的な不妊手術や大量虐殺の報告を否定した。また、ウイグル自治区全体では出生率の急落が続いており、全国ではわずか4.2%であるのに対し、2019年だけで24%近くも低下している。 これについて東京大学社会科学研究所の丸川知雄は『新疆統計年鑑』を分析した上で、ウイグル自治区全体の出生率低下とウイグル族への不妊手術実施には直接の関係が無い上に、手術が強制された証拠もないと述べた。ウイグル族は子供を働き手として期待し、子供は天の授かりものと見なすイスラム教の影響も強く、ウイグル族に対して一人っ子政策が厳しく適用されなかった事もあり、ウイグル族では子供が6人も8人もいることがあったので、ウイグル族が集住する地域では子供が多過ぎて貧困から抜け出せない状況にあった。そこで自治区政府は05年から出産制限を勧める補助金政策を取り始め、夫婦が子供を二人だけ生めば「計画出生父母光栄証」が、子供を一人だけ生めば「一人っ子父母光栄証」を与えられ、毎年の年金と一時金を受け取れるという計画出生政策を実施した。当初07年は毎年600元に加えて、光栄証を貰った時に一時金として3000元が与えられていたが、11年から年金の額は1200元に上乗せされ、20年時点では、一時金の額が6000元、2年目からの年金は一家庭に対して年3600元とさらに増額されている。丸川はこのような経済インセンティブこそが新疆で不妊手術が多かった主たる理由であり、強制的な不妊治療が行われたとの憶測に反論した。
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