新たに明らかとなった箱根火山直近の噴火活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 17:04 UTC 版)
「箱根火山の形成史」の記事における「新たに明らかとなった箱根火山直近の噴火活動」の解説
これまで約3000年前の冠ヶ岳の噴火が、箱根火山の直近の噴火とされてきたが、以前より神山や大涌谷周辺で火山噴火に伴うと考えられるくぼみが複数確認されており、冠ヶ岳の噴火後も水蒸気爆発があったのではないかと言われていた。 2006年、大涌谷周辺の調査の結果、冠ヶ岳の噴火以降に堆積した、箱根火山のものと考えられるテフラ層が5層確認された。同じ地層に堆積している富士山の火山灰や神津島天上山テフラとの地層の上下関係の確認や、地層に含まれている木片などの放射性炭素年代測定から、5回の噴火は約2800年前、約2000年前、そして12世紀後半から13世紀頃という比較的短期間に、3回の噴火があったものと推定された。 約2800年前、約2000年前の噴火は、ともにテフラの堆積状況から、神山から北東方面に伸びる尾根付近に噴火口があったものと考えられ、現在も噴火口跡と考えられるくぼみが残っている。ともにマグマ本体の活動は伴わない水蒸気爆発であったと考えられるが、噴火直後には土石流が発生し、2000年前の噴火では、噴火に伴って火砕サージが発生した。 12世紀後半から13世紀にかけての3回の噴火は、大涌谷周辺が噴火口であったと考えられる。いずれも水蒸気爆発で、大涌谷周辺の半径数百メートルの範囲でテフラが検出されるのみの、小規模な噴火であった。なお、このときの噴火活動は歴史的には鎌倉時代にあたるが、今のところ文献資料からは箱根火山の噴火記録は見出せない。 その後、21世紀に入って、2015年(平成27年)6月29日に大涌谷の北側において降灰を伴う小規模な噴火が発生した。これが現時点での箱根火山の直近の噴火活動にあたる。
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