文学における例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/07 09:16 UTC 版)
「シャギー・ドッグ・ストーリー」の記事における「文学における例」の解説
マーク・トウェインの旅行記『西部放浪記』には典型的なシャギー・ドッグ・ストーリーが含まれている。トウェインは友人たちから、ジム・ブレインという男性が泥酔しているところを訪ねて「そいつの爺さんが飼っていた老いぼれ牡羊についての痛快な物語」を乞うように勧められる。トウェインはすでにその話を聞かされた友人たちの様子を見て興味を覚え、年老いた銀鉱夫であるブレインを探し出す。ブレインはトウェインと同行の友人たちに物語を始めるが、問題の牡羊は最初に触れられるだけで(「あれほど見事な老いぼれ牡羊はどこにもいなかった」)、それから改行なしで4ページにわたって、散発的に笑いが差し挟まれる外は盛り上がりに欠ける話が続けられる。そこでは多くの話が語られるが、いずれも直前の話とのつながりはあやふやで、老いぼれ牡羊とは何の関係もない。たとえば、釜茹でにされた宣教師の話や、棺桶を売り歩くセールスマンの妻から義眼一個・義足一本とカツラを借りた女性の話、じゅうたん工場の機械に巻き込まれて死んだ男の未亡人が、夫の体が織り込まれた絨毯を買い求めた話などである。ブレインはじゅうたん男の葬式について話しながら眠り込んでしまう。トウェインが目をやると、友人たちは「苦し気に笑いをこらえていた」。彼らが明かしたところによると、「[ブレインが]何杯かひっかけると決まって、まるで何かの儀式みたいに、爺さんが飼っていた老いぼれ牡羊についての冒険談をぶち始めて、止めようとしても聞きやしない。… そして、最初のたった一言以外に牡羊について聞き出すことができた奴は誰もいないんだ」 シャギー・ドッグ・ストーリーの中でも有名なものに、へそに銀のネジがねじ込まれて生まれた男の話がある。男はそれが気に入らず、ねじを抜く方法を求めて旅に出るが、思ってもいなかった結末を迎える。ハーマン・メルヴィルの『白鯨』はこの小話を長編海洋文学として語り直したものだと見ることができる。「ここ[メインマスト]に打ち付けたドブロン金貨、こいつは船のへそだ。船員どもは一人残らず金貨を頂こうと躍起になってやがる。だがよ、へそを引っこ抜いたらはらわたはどうなる? と言っても、ここにくっついたままでも良かあねえ。マストに要らんもんが打ち付けてあるのは、お先真っ暗だっていうしるしだからな」(『白鯨』第99章) その上、エイハブ船長は明らかに、足が残っている間に諦めておくべきだった男である。 アイザック・アシモフの短編集『木星買います』には「シャー・ギード・G (Shar Guido G)」という作品が収録されている。アシモフは解説の文章で同作をシャギー・ドッグ・ストーリーだと明言し、タイトルは「シャギー・ドッグ」にかけたものだと述べている。
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