散文と詩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 19:54 UTC 版)
ウィーン出身の小説家ボジェナ・ニェムツォヴァーが1855年に書いた小説『おばあさん』では、その結末で表題となっている女性が「私が死んだらそれを蜂に聞かせるのを忘れないで。そうすれば蜂が死に絶えてしまうことはないから!」と語る。ニェムツォヴァーの小説には、ボヘミア、モラヴィア、シレジア、スロバキアに伝わる習慣がよく登場する。これはニェムツォヴァーが19世紀半ばにこの地域で行ったエスノグラフィック・リサーチがもとになっている。 詩に関していえば、デボラ・ディグス(Deborah Digges)、ジョン・エニス(John Ennis)、ユージーン・フィールド(Eugene Field)、キャロル・フロスト(Carol Frost)などの詩人が、この習慣を自身の作品のタイトルに取り入れている。 19世紀の詩人ジョン・グリーンリーフ・ウィッティア(英語版)の詩『Telling the Bees』の一節には、この習慣が直接的に描かれている。 Before them, under the garden wall,Forward and backWent, drearily singing, the chore-girl small,Draping each hive with a shred of black.Trembling, I listened; the summer sunHad the chill of snow;For I knew she was telling the bees of oneGone on the journey we all must go!... And the song she was singing ever since In my ear sounds on:—"Stay at home, pretty bees, fly not hence!Mistress Mary is dead and gone!" 庭の塀の下にある蜂の巣箱の前で行ったり来たりしながら物悲しい歌をうたっている幼い下女の娘巣箱一つずつに黒い布切れをかけているおののきながら私は聞いた。夏の太陽が雪のように冷たいというのを。あの娘が蜂たちに聞かせているのは誰のことか私はわかっているその人が旅に出たのだから私たちも行かなければ!(中略)そしてあの娘がうたっていた歌はそれ以来私の耳もとに流れて続けている。「おうちにいてね、かわいい蜂さん、飛んでいかないで!女主人のメアリーさまがあの世に行ってしまっても!」 文芸作品以外では、イギリスの刑事ドラマ『もう一人のバーナビー警部』のエピソード「蜂の一刺し」(シーズン1:エピソード 44)にもこの習慣が描かれ、蜂を喪に服させるために巣には黒い布がかけられる。
※この「散文と詩」の解説は、「蜂よ聞いてくれ」の解説の一部です。
「散文と詩」を含む「蜂よ聞いてくれ」の記事については、「蜂よ聞いてくれ」の概要を参照ください。
- 散文と詩のページへのリンク