教会旋法による音楽の対位法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 07:25 UTC 版)
「対位法」の記事における「教会旋法による音楽の対位法」の解説
教会旋法による音楽の対位法は、もっぱら声部間の音程の変化が重要な要素である。曲の冒頭から曲尾に向かって、協和音程、不協和音程をバランスよく織り交ぜながら最終的に協和して終わるのである。この中で、いかにそれぞれの声部の旋律が美しく、またいかにそれぞれが独立した旋律であるかが求められる。 ルネサンス期の技法を検討した理論書としては、フックスが1725年に著したGradus ad Parnassum(パルナッソス山(芸術の山)への階段)が特に有名。(書かれたのは18世紀であることに注意。)原典はラテン語で、対話形式を用いて書かれている。対位法の実習の際に注意すべき規則が厳しく定められており、その規則に縛られながら課題をこなすことによって、正統的な対位法的感覚を身につけることができるとされる。実際の作曲に用いられるよりも厳しい規則がしかれているため、厳格対位法と呼ばれる。また、対旋律をそのリズムごとに類別して規則を説明しているので類的対位法とも呼ばれる。J.S.バッハの蔵書の中にも含まれ、またベートーヴェンらもこの教程書を使って対位法の勉強をしたと伝えられている。原典は日本語訳も出されたものの、現在入手が困難である。フックスの原典に挙げられている範例は、今日では不適切であるとされるものも多いが、対旋律をそのリズムに従って分類し実習を進めていく方法はフックスの着想であり、以後多数の厳格対位法の教本において踏襲されている。
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