政治的・倫理的問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 05:56 UTC 版)
写真編集は写真が誕生した時代から行われてきた。アメリカ南北戦争の頃には、写真は複数のネガフィルムから彫版として出版されていた。写真は社会的に見れば本質的に写実性を備えている。そのため、写真編集は見る者を騙して納得させるために行われたり、物語性や判りやすさを強調するために行われることがある。誰かを騙そうとする意図をもって写真編集することで、それが改竄とみなされ政治的・倫理的に問題視されることもある。 ヨシフ・スターリンはプロパガンダ目的で写真を改竄させていたと言われている。1920年5月5日、前任者ウラジーミル・レーニンがソビエト軍への演説を行った際、レフ・トロツキーも出席していた。スターリンはそのときの写真を改竄させ、トロツキーが出席していなかったように見せた。またNKVDのリーダーであったニコライ・エジョフはスターリンと共に写真に撮影されたことがあるが、1940年に処刑されるとその写真が改竄された。これらは一種のダムナティオ・メモリアエ(記録の破壊)である。 写真のニュース価値を高めるために写真編集を行った最初のジャーナリストとして、1920年代のベルナール・マクファデンと彼の合成写真が有名である。 1930年代、ジョン・ハートフィールドはナチのプロパガンダへの批判として、フォトモンタージュと呼ばれる写真編集技法を使用した。現代のデジタル・フォトモンタージュのスタイルと技法は、特にイギリスのデザイン・グループであるヒプノシスによるシュルレアリスム的なアルバムカバー写真により、1960年代末には予期されていた。 スーザン・ソンタグは "On Photography"(1977年、邦題は『写真論』)の中で、写真における客観性および客観性の欠如を論じている。 2020年代になって、AIがディープラーニングによって生成した架空の人物の写真が、複数の宣伝サイトに於いて、実在の人物であるかのように装い宣伝に悪用されていることが判明している。
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