政治犯強制収容所の所在地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 14:24 UTC 版)
「朝鮮民主主義人民共和国の強制収容所」の記事における「政治犯強制収容所の所在地」の解説
近年はアメリカの人工衛星より撮影された北朝鮮全体の画像と、元受刑者・元警備兵の証言より約20の強制収容所の所在地と名称が確認されたという。他方、アムネスティの調べによれば、少なくとも6ヶ所の政治犯向け強制収容所が稼動し、約20万人の政治犯がいるという。位置は出版物やインターネットを通じて一般に公開されている。現在はおよそ5カ所に縮小、ひとつは一般刑務所として転用されたと見られている。 北朝鮮の主な強制収容所の所在地は、人里離れた中山間地域や、山に囲まれた河川の上流部に立地している。都市やその近郊に所在し、高い塀に囲まれた監獄に独房や雑居房が並んでいるという刑務所や強制収容所の一般的なイメージとは異なり、広大な土地を鉄条網と武装した監視員で取り囲み「管理所」と称している。収容所を上空から撮影した衛星写真をみる限り、鉄条網の中では、収容者の暮らす粗末なバラックが複数の集落を構成し、それらが河川や道路に沿って点在する列村を形成しており、彼らが強制労働を通じて生活の糧を得るための粗末な工場や田畑が広がっている。大きな収容所では、広大な中山間地域に多数の集落が連なって約5万人程度の人口があり、炭鉱や鉱山を含んでいる。小さな収容所でも約5千人程度の人口がある。上空から収容所を撮影した衛星写真は、インターネットのgoogleマップに緯度と経度をプロットして確認することもできる。 収容所付近には監視員とその家族が居住する集落もあり、監視員の家族が収容者と顔を合わせることもあるのが特徴的である。国家安全保衛部に属していた元監視員の手記によれば、成人である収容者が監視員の家族と路上で鉢合わせした際は腰を深々と折って90度近い角度まで頭を下げ、子供に対して「先生様」と呼んで挨拶することを義務付ける異常な規律が存在する。 たとえ監獄のように、高い塀の中に閉じ込められることはなくとも、北朝鮮の収容所では、冬は雪に閉ざされる人里離れた土地柄と、日々の過酷な処遇による体力の衰え、そして極度の心労・精神的苦痛が、収容者の脱走を不可能なものにしている。
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