改良標準化の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 16:17 UTC 版)
「日本の原子力政策」の記事における「改良標準化の影響」の解説
日本原子力産業会議や日本原子力学会のように、改良標準化計画を軽水炉の発展に必要不可欠なものとして肯定的に評価する向きがある。これらの根拠には、改良標準化計画が当初の目標をほぼ達成し、それまでよりも高い安全性、低い被曝量、高い稼働率を与えたことがある。実際、1970年代に全国平均で40% - 60%に過ぎなかったプラントの設備利用率は1980年代から2000年代初頭にかけては70% - 80%の高率に達した。 これらの成果を材料に、原子力推進側は原子力撤廃運動に対して反論をする素地を作った。問題点としては、中瀬により2点が指摘されている。 計画の達成した成果に溺れたこと 日本の原子力産業において、改良標準化の成果を否定できない空気が生まれたこと 1点目について、改良標準化計画が終了した後、原子炉機材向けの研究投資が鈍化し核燃料サイクル向け投資が増加したことが挙げられている。このことは1999年代末以降に軽水炉で発生した新たなトラブルに対して、十分な準備がなかったことを浮き彫りにした。 2点目として、設備利用率の目標が計画で「達成」されたため、以降その成果を否定できない空気が生まれ、一方で電力自由化への対応準備など1990年代以降に登場してきた課題に対して定期検査期間の更なる短縮を進めた結果、東京電力原発トラブル隠し事件が発生する背景ともなったと考えられている。 改良標準化計画については全体として下記サイトも参考とした。 4・2 改良標準化 「エネルギー問題に発言する会」座談会記録 『高経年化とは何か?』2002年6月13日、8月21日
※この「改良標準化の影響」の解説は、「日本の原子力政策」の解説の一部です。
「改良標準化の影響」を含む「日本の原子力政策」の記事については、「日本の原子力政策」の概要を参照ください。
- 改良標準化の影響のページへのリンク