操作変数推定量の解釈において
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/09 10:09 UTC 版)
「操作変数法」の記事における「操作変数推定量の解釈において」の解説
上での例は興味のある因果効果は観測値の間で不変であることを仮定している、つまり、 β {\displaystyle \beta } が定数であるということを仮定している。一般的に、主体が異なれば、"処置" x {\displaystyle x} の変化に対する反応も異なる。この可能性を考慮に入れると、 x {\displaystyle x} の y {\displaystyle y} における変化の母集団における平均的な効果は与えられた部分母集団における平均的な効果とは異なるだろう。例えば、職業訓練プログラムの平均効果は、訓練を実際に受講した人々からなるグループと受講しなかった人々からなるグループとで実質的に異なるだろう。これらの理由により、操作変数法は、行動的な反応に対する暗黙的な仮定、もしくはより一般的に処置への反応と処置を受けるかどうかの傾向の間の相関についての仮定を課している。 標準的な操作変数推定量は平均処置効果(英: average treatment effect, ATE)というよりは局所平均処置効果(英: local average treatment effect, LATE)を取り出すことができる。Imbens and Angrist (1994) は線形な操作変数推定量は弱い条件の下で局所平均処置効果の加重平均と見なせることを示した。ここでその加重は操作変数の変化に対する内生的な説明変数の弾力性に依存している。端的に言えば、観測された操作変数の変化に反応した部分母集団についてのみ変数の効果は表れ、操作変数の変化に最も反応した部分母集団が操作変数の大きさや程度に最も大きな影響を持つだろうということを意味している。 例えば、研究者がランドグラント大学の存在を所得の回帰における大学教育の操作変数として使う時、研究者は大学が存在していれば学位を取るが、存在していなければ学位を取らなかった部分母集団における大学の所得に対する影響を識別する。この実証研究では、追加的な仮定なしには、大学があろうとなかろうと学位を取る、もしくは取らない人々における大学の効果について研究者は何も言えない。
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