推進薬の充填
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 20:39 UTC 版)
燃焼圧力に耐えるため、多くのモーターケースは円筒形であり、充填される固体燃料の形状もまた円筒形となることが多い。燃焼途中に燃焼そのものの制御を行うことは難しいが、燃料充填の際に充填する形状を調整し、燃焼する表面積を制御することで燃焼持続時間や推力を調整することができる。例えば、円筒状に充填した推進薬の端面からのみ燃焼させれば比較的小さな一定推力を長時間発生させ、内部に円形の穴を開けてマカロニ状の形状にした推進薬の内部から燃焼させると、燃焼にしたがって燃焼表面積が増加し時間経過に伴って推力を増大させることができ、穴の形状を星型とすれば端面燃焼に比べて面積変化が抑えられ、一定の大きな推力を短時間で発揮させることができる推進薬となる。たとえば、ミサイルなど、一定の推力で長時間燃焼する必要がある場合は端面燃焼が用いられ、衛星打ち上げロケットの第1段やブースターのように短時間に大推力が必要な場合は星形断面の内面燃焼が用いられるのである。 このほかにも円筒形、星型、三角形の溝を掘った円筒形などの形状の燃料外面に点火する外面燃焼、内孔のある多数の円筒形燃料をまとめて点火し全面燃焼とするマルチ・グレイン、または円筒形燃料に多数の内孔を開けて同時に点火し、より大きな燃料表面積と推力を得るマルチ・パーホレーション[要出典]などが用いられ、これらを適宜組み合わせて燃料の充填形状を調整することによって要求に見合う推力パターンのロケットモーターを製作できる。 推進薬の製造工程で気泡の混入や、運搬時の衝撃や震動、保管時の急激な温度変化で燃料にひびや「す(気孔)」が入った状態で燃焼が始まると、燃焼面積の増加から燃焼ガスの圧力が急上昇し、ロケット本体が破壊されることがある。
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