択一的認定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 05:50 UTC 版)
昭和63年7月24日青森県青森市で産業廃棄物最終処分場付近において自動車内で被害者Yを扼殺または絞殺しその死体を貝殻等捨場の穴に放り込んだとしてWとXが起訴された。Xが共謀の事実も殺人の実行の事実も否認したのに対し、WはXとの共謀とXによる実行を証言した。そこで検察官はXがWと共謀して自らYを窒息死させたと訴因を明示した。第一審裁判所は、Xは「Wと共謀の上,前同日午後8時ころから翌25日未明までの間に,青森市内又はその周辺に停車中の自動車内において,W又はXあるいはその両名において,扼殺,絞殺又はこれに類する方法でYを殺害した」と日時、場所、実行行為者が概括的な形で事実認定した。 これについて最高裁判所平成13年4月11日第三小法廷決定は 「この程度の判示であっても,殺人罪の構成要件に該当すべき具体的事実を,それが構成要件に該当するかどうかを判定するに足りる程度に具体的に明らかにしているものというべきであって,罪となるべき事実の判示として不十分とはいえないものと解される。」とした。 第一審裁判所が訴因変更を経ずに訴因と異なる事実認定をした点については、 「実行行為者の明示は,前記のとおり訴因の記載として不可欠な事項ではないから,少なくとも,被告人の防御の具体的な状況等の審理の経過に照らし,被告人に不意打ちを与えるものではないと認められ,かつ,判決で認定される事実が訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより不利益であるとはいえない場合には,例外的に,訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる実行行為者を認定することも違法ではない」 とした。
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