抑圧の過程とそれに対する抵抗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 19:39 UTC 版)
「インターセクショナリティ」の記事における「抑圧の過程とそれに対する抵抗」の解説
周縁化された集団の人々は社会から一方的に「他者」(other) という属性を与えられることが多い:S18。社会学において「他者化」されることは、(異性愛規範などの)社会の慣例や規範に当てはまらないことを元に排除されることだとグロリア・アンザルデュアは指摘する:205。オードリー・ロードは「空想上の標準」という概念を用いて、社会の中で「他者」として扱われること、またそれによる社会認識について次のように記した:109。 「自分はそこに当てはまらないと皆がわかっていても、私たち一人一人の意識のどこかには私が『空想上の標準』と呼ぶものがある。アメリカにおいてその『標準』とは、白人で、細身で、男性で、若くて、異性愛者で、キリスト教徒で、経済的に安定している人だとされる事が多い。この『空想上の標準』によって、社会の中で権力が固定される。権力の外側に居る私たちの多くは、自分が何かしらの『違い』を有している事を認識して、それが全ての抑圧の最も重要な要因であると考え、他の『違い』による社会の歪みや、その歪みに自分も関わっているかもしれないということを忘れることがある。現代のフェミニズムにおいて、白人女性は自身が女性として経験する抑圧を重要視して、人種、性的指向、社会階級や年齢などの違いを無視してきた。『シスターフッド』という言葉は、[女性は皆] 共通で同一の経験をしているという体で使われてきたが、そのような均一性は存在しないのだ。」 — オードリー・ロード、Sister Outsider 批判理論の学者であるアーサー・ブリテンとメリー・メイナードは「支配には、常に被支配対象の客体化(英語版)が行われる。あらゆる形の抑圧は虐げられた者の主観性を軽んじる」とした。これをもとに、コリンズは自己評価と自己定義が抑圧に抵抗する有効な術であると論じた:S18。自己を認識し自ら定義をすることは、抑圧されている集団に属する人にとって自尊心を保つために効果的で、周りから受ける非人間的な扱いの影響を軽減することができる:69。
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