手段の制限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 21:40 UTC 版)
手段の制限 (英: method restriction, lethal means reduction) は、自殺による死者数を短・中期的に減少させる効果的な方法である。手段の制限による自殺の防止は説得力のある根拠で支持されたベストプラクティスであると考えられている。この種の対策の中には、橋に障害物を設置する、ガスの毒性を減らすなど、政府や産業界、公益事業による活動が必要なものもある。個人レベルでできる簡単な対策としては、危機的状況が終わるまで信頼の置ける友人や家族に火器を保管するように頼むといったものがある。自殺の手段が利用できる状態を制限しないようにすることは非倫理的であると考えられている。 制限される手段が一般的である場合や、直接的な代替手段で利用できるものがない場合、手段の制限は自殺率全般に対して最大の効果を発揮する。制限される手段が一般的でない場合や、代替手段が容易に利用できる場合、手段の制限は個別の事例では有効になり得るが、一国における自殺者数の大規模な減少には至らない。 最初に選択した手段が利用できなくなったときに、異なる自殺の手段が代替として選択される可能性が考えられる (英: method substitution)。多くの事例では、最初に選択した手段が制限されると、代替手段を見つけようとしなくなる。一般的な手段が制限される (たとえば、家庭用ガスの毒性を低減するなど) 場合、全般的な自殺率は長年にわたって抑制される可能性がある。最初に選択した手段が利用不可能になると、代替手段としてより致死性の低いものが選択され、結果として自殺による死者数が減少する傾向が出る可能性がある。 カーブカット効果(英語版) (障害者のために設計された技術はすべての人にとって有用になるという現象) の例に、自殺に関係しない変化も手段の制限として機能することが挙げられる。駅のプラットフォームへのホームドアの設置や、家庭用ガスの石炭ガスから天然ガスへの切り替え、銃規制法などがこの例に当たる。どれも自殺の減少に役立っているが、本来は自殺防止とは異なる目的で導入されたという経緯がある。
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