思想的および地理的背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 14:40 UTC 版)
「補陀落渡海」の記事における「思想的および地理的背景」の解説
仏教では西方の阿弥陀浄土と同様、南方にも浄土があるとされ、補陀落(補陀洛、普陀落、普陀洛とも書く)と呼ばれた。補陀落は、サンスクリット語の「ポータラカ」(Potalaka)の漢字による音写である。補陀落は華厳経によれば、観自在菩薩(観音菩薩)の浄土である。チベット・ラサのポタラ宮の名の由来も、このポータラカである。 浄土信仰が民間でも盛んとなった平安後期から、民衆を浄土へ先導するためとして渡海が多く行われるようになった。渡海は概ね黒潮が洗う本州の南岸地域で行われた。特に南紀・熊野一帯は、それより以前から密教の聖地、さらに遡って記紀の神話も伝わる重層的な信仰の場である。『日本書紀』神代巻上で「少彦名命、行きて熊野の御碕に至りて、遂に常世郷に適(いでま)しぬ」という他界との繋がりがみえる。黒潮は地球規模でも強い海流の1つであり、この流れに漂流するとかなりの確率でそのまま日本列島の東側の太平洋に流されていき、戻ってくることがない。ごくまれに南下する親潮により南への循環流に乗り、再び日本の沿岸へ漂着することがある。
※この「思想的および地理的背景」の解説は、「補陀落渡海」の解説の一部です。
「思想的および地理的背景」を含む「補陀落渡海」の記事については、「補陀落渡海」の概要を参照ください。
- 思想的および地理的背景のページへのリンク