怒りを静める方法・怒りの感情への対処法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 21:20 UTC 版)
「怒り」の記事における「怒りを静める方法・怒りの感情への対処法」の解説
怒りは、最初に何らかの衝突があり、それに対する評価が生まれ、さらに評価検討が繰り返され増大してゆくので、できるだけ早いうちに自分の気分を静めることができれば、怒りを回避することも可能であるという。 状況に対する理解のしかた(いわゆる「ものの見方」)を変えることは、怒りを静めるのに有効であるという。上述の実験に類似した状況で、もうひとりの別の助手Bが助手Aに「電話がかかってきています」と告げ、助手Aは部屋を出ていきざまに、助手Bにも憎まれ口をたたくが、助手Bは上機嫌で受け流し「あの人、もうすぐ卒業論文の口頭試問があるので気が立っているんです」と被験者たちに説明し、その後助手Aに対する評価を書いてもらうと、腹を立てていたはずの被験者たちは仕返しをするどころか、助手Aへ同情の声を寄せたという。 もうひとつは、怒りの対象となっている人物からとりあえず離れて、散歩などの気晴らしや楽しいことをすることだという。これで憎悪の拡大にブレーキをかけることができる。 ひとりきりになっても、腹の立つことを考え続けていたのでは効果がなく、腹の立つことを思い出すたびに怒りが少しずつ積み重なってゆくばかりだという。 ダイアン・タイスの調査でも、気晴らしは、怒りを静めるのに役立つという結果が出ているという。例えば、喫煙、楽しいテレビ番組、映画、楽しい内容の読書などは、怒りを中断してくれる。 ただし、ショッピングや食べることではあまり効果がない、という結果が出ているという(※) (※ 安易なショッピングは後で「無駄遣いをしてしまった」という後悔や自己嫌悪(や別の怒り)を生みがちであるし、「やけ食い」もしばしば後悔・自己嫌悪につながり、人によっては肥満→自己嫌悪(や怒り)・ストレス→肥満 という自己破壊的な悪循環に陥ってしまうこともある。) 怒りをぶちまけてしまうということを怒りの処理方法として賞賛する人もいる。例えば、怒りの対象である人物に直接怒りをぶつけ、綱紀を粛正する(間違いを正す)必要がある場合である。ただし、怒りというのは非常に燃え上がりやすい感情なので、現実には理屈で言うほどうまくいかないだろうという。タイスが実施したアンケート調査の結果では、相手に怒りをそのままぶつけた場合、不快な気分がかえって長引く場合が多いという。それより、一旦自分の頭を冷やしてから前向きの態度で問題を解決すべく相手と対決したほうが、はるかに効果的だという。 「怒りは、どう扱うのが最善か?」という質問に、チベットの高僧チョギャム・トゥルンパは次のように答えたという。 「抑えつけてはいけない。しかし流されてもいけない」
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