従来より提唱されてきた諸説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 06:42 UTC 版)
「扶余語族」の記事における「従来より提唱されてきた諸説」の解説
ツングース語系説…日本では、古くは粛慎系の靺鞨や勿吉とともに夫余もツングース系であるとされており、日本では第二次世界大戦前には多数を占める説であった。 モンゴル語系説…北夫余の故地に在った豆莫婁の言語は、東胡系とする室韋、庫莫奚、契丹と同じであることが『魏書』に記されており、『新唐書』にある北夫余の末裔を自称した達末婁が同じ国であるため、言語的にも末裔であればこれらの言語系統はモンゴル系になる。しかし支配層と民衆の言語が異なる可能性もある。 ツングース+モンゴル語系説…比較言語学的研究により、濊貊系(濊系、扶余系)の語彙の多くがツングース系の語彙と共通し、かつモンゴル系の語彙も含むことから、夫余・高句麗語はツングース系をベースとしたモンゴル系との混成語であるとする説。これに対し、粛慎系の言語はモンゴル系などが混じっていない「純ツングース系」とされる。 日本語系説…比較言語学的研究により、『三国史記』所載の高句麗地名から抽出した高句麗語語彙が、ツングース系語彙よりも日本語や中期朝鮮語語彙に多く共通するとして、アルタイ祖語は夫余・日本・朝鮮・韓共通語とテュルク・モンゴル・ツングース共通語の二つに分離し、前者が原始韓語と原始夫余語とに分かれ、ついで原始夫余語が高句麗語と原始日本語とに分かれたとする説。しかし、村山七郎や清瀬義三郎則府は、高句麗語と朝鮮語は遠いことを示すと共に、日本語と近縁の言語とし、そもそも高句麗語の存在や不正確さも指摘している。 古シベリア(古アジア)系説…中国史書の記述(上記)から粛慎系の言語系統と濊系の言語系統が異なると判断し、粛慎系をツングース系と仮定すれば、濊系は古アジア系となる説。ただし古アジア系言語は同系でない諸語族の寄せ集めであるため、それらのどこに属すかの議論が必要である。
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