後手番一手損角換わり戦法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 02:39 UTC 版)
「角換わり」の記事における「後手番一手損角換わり戦法」の解説
詳細は「後手番一手損角換わり」を参照 2000年代に入ると、後手番一手損角換わり戦法が出現した。既出の図において、もしも△8五歩が△8四歩であれば結論が変わりうる。先手飛車先保留と同様で、後手に△8五桂と跳ねる手が生じ、カウンターの破壊力がさらに増すからである。しかし将棋には一手パスというルールが存在しないため、30手ほど先の手詰まりを見越して、序盤に後手が無理矢理角交換を行う。単に「一手損」とも呼ばれる。 つまり「『一手損』戦法」と称するが、主旨としては「『一手パス』戦法」である。この状態で駒組みの飽和状態(38手目)に達すれば、39手目からの先手の攻撃に対して△8五桂からのカウンターが決まる可能性が高い。従って、先手は攻撃をせかされる形になる。不十分な形で攻め込むため、「一手パス」をした後手のカウンターが決まる場合もあるが、単に駒組みで「一手損」したことで、そのまま潰される可能性もある。 角換わり一手損戦法の流行には、他の戦法との関連も考慮に入れなければならない。まず横歩取りブームの沈静化である。8五飛戦法による後手勝率も下がり、横歩取りの魅力が低下している中、未だ定跡の開拓されていないこの戦法に注目が集まった。実はこの戦法も後手勝率は低いのだが、研究を外して力戦に持ち込めるというメリットも、力将棋に自信のあるプロが採用する要因であろう。 一手損角換わりは後手の勝率が盛り返し、2008年度の後手勝率5割超えに貢献した。タイトル戦にも頻繁に現れ、いまや相居飛車の主要戦法のひとつになりつつある。 2013年時点では一手損角換わりの勝率は4割前半程度と言われており、一部のスペシャリストが採用する戦法とされている。
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