常任化
常任化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 16:22 UTC 版)
欧州憲法条約では従来の輪番制に代わり、常任の「欧州理事会議長」の概要を示していた。欧州憲法条約は批准手続きにおいて、フランスとオランダの国民投票で否決された。しかしながら欧州理事会と議長職についての変更点はリスボン条約でも残され、そのリスボン条約は2009年12月1日に発効した。 常任議長がどのような性質を持つ役職であるかということが具体的にされていなかったため、初代常任議長は将来における「常任議長職の輪郭を描く」ものとされている。常任議長は基本条約で示されているような、単に欧州理事会の会合における議長を務め、会合と政策の円滑な進行を確保する程度の象徴的な役職に過ぎないという考え方がある。常任議長がこのような役職であれば、政界引退が近いような指導者にとってみれば自らの経歴に花を添えるものと考えるような最高の役職となり、常任議長となった人物は欧州連合の機関に対して権力を行使するよりも事務的な作業に力を注ぐことになりかねない。これに対して別の考え方では常任議長について、連合内部でより積極的な活動ができるようになり、また対外的に発信する役職となると見ている。このような考え方での常任議長は事実上の「ヨーロッパの大統領」と位置づけられ、世界に対して欧州連合を代表する役職となる。そのような役職に就く人物には強いリーダーシップが求められることになる。 リスボン条約では欧州理事会議長の選任手続きが定められておらず、公の場での発言や憶測などが飛び交う中で様々な人物が候補に挙がった。2007年11月19日にフランスの大統領ニコラ・サルコジは常任議長の候補としてトニー・ブレア、フェリペ・ゴンサレス、ジャン=クロード・ユンケルの名を私見として挙げ、特にブレアについては長らく最有力候補と目されてきた。ところがブレアに対してはイラク戦争を開戦したことや、出身国イギリスがユーロ圏やシェンゲン圏に入っていないということもあって、常任議長にはふさわしくないとする強い反発が起こった。
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