山海経図
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 14:14 UTC 版)
古代においては『山海経』は絵地図としても構成されており、山・川・海・森林などが描き込まれ、そこに神・人物・動物・植物・鉱物が描かれていたと考えられている。とりわけ現行の『山海経』の特に海経に属する本文に存在する「杯に持って東に向かって立つ」(海内北経・蛇巫山)「几(つくえ)にもたれる」(海内北経・西王母)「東を向き崑崙の上に立つ」(海内西経・開明獣)などの描写は、本来は絵地図上に描かれた画像そのものの形を示していたと見られている。 現在確認されている『山海経』の図を持つ文献には以下のものが主に存在する。いずれも明の時代、あるいは清の時代に作られた版本などであるが、この他、同種の絵巻物も存在していたと見られている。 明 広陵蒋応鎬絵図『山海経図絵全像』 明 胡文煥『山海経図』 清 『増補絵像山海経広注』 『三才図会』などの類書には『山海経』が資料として引かれており、神・動物・異国などの情報と絵が収録されている。また、明の時代に邊景昭(べんけいしょう)の描いた絵巻物『百獣図』(1447年)にも『山海経』に由来するものと見られる動物などが多数描かれている。 日本では、江戸時代に描かれた絵巻物などに『山海経』の版本に描かれている神や動物を描いたものが確認されている。ただし記された情報に錯綜など多くが見られることから『山海経』の原文そのものを資料としておらず、中間に別の資料があり、それらを参考にして描かれたものであると考えられている。 『怪奇鳥獣図巻』 『十二霊獣図巻』 「ソウ」や「リョウシツ」など『山海経』に見られるものが描かれている。典拠には『三才図会』など類書との関係が見られている。 『百鬼夜行画巻』 『百怪図巻』などに見られる日本の妖怪が描かれるが、後半に『山海経』のものが描かれている。長野市の真田宝物館に所蔵されている。
※この「山海経図」の解説は、「山海経」の解説の一部です。
「山海経図」を含む「山海経」の記事については、「山海経」の概要を参照ください。
- 山海経図のページへのリンク