尿酸降下薬の種類と選択
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:42 UTC 版)
「高尿酸血症」の記事における「尿酸降下薬の種類と選択」の解説
2012年現在、日本で使用できる尿酸降下薬は尿酸排泄促進薬3種類および尿酸生成抑制薬2種類がある。尿酸排出低下型に尿酸排出促進薬、尿酸産出過剰型に尿酸生成抑制薬を選択することが基本原則となる。中等度以上の腎障害(eGFRで30ml/min/1.73m2未満または血清クレアチニン値2.0 mg/dl以上)の腎機能障害は尿酸生成抑制薬を選択肢し、慎重に投与する。アロプリノールを腎不全の患者に使用するときは腎障害の程度に合わせて投与量を調節する。尿路結石の既往ないし合併がある場合は尿酸生成抑制薬を選択する。尿酸排泄促進薬を使用する場合は尿路結石の発現に注意し、尿アルカリ化薬を併用する。ベンズブロマロンとブコロームはワルファリンカリウムの血中濃度を増加させるため併用時は注意を要する。 プロベネシド プロベネシド(ベネシッド)は近位尿細管の管腔側で発現し尿酸の再吸収を担っている尿酸トランスポーター1(URAT1)の作用を抑制することで尿酸排泄促進作用を発揮する。尿アルカリ化剤としてクエン酸カリウム(英語版)やクエン酸ナトリウム水和物(ウラリットなど)を3〜6g/day、3〜4回に分服も併用し尿pHを6.0〜7.0に保ち尿酸結石の出現を防ぐ。また尿酸結石を防ぐため日頃より水分摂取を励行し、1日尿量を2,000ml以上にする。 ブコローム ブコローム(パラミヂン)は非ステロイド性抗炎症薬のひとつで尿酸排泄促進作用がある。尿アルカリ化剤としてクエン酸カリウムやクエン酸ナトリウム水和物(ウラリットなど)を3〜6g/day、3〜4回に分服も併用し尿pHを6.0〜7.0に保ち尿酸結石の出現を防ぐ。また尿酸結石を防ぐため日頃より水分摂取を励行し、1日尿量を2,000ml以上にする。 ベンズブロマロン ベンズブロマロン(ユリノーム)は近位尿細管の管腔側で発現し尿酸の再吸収を担っている尿酸トランスポーター1(URAT1)の作用を抑制することで尿酸排泄促進作用を発揮する。尿アルカリ化剤としてクエン酸カリウムやクエン酸ナトリウム水和物(ウラリットなど)を3〜6g/day、3〜4回に分服も併用し尿pHを6.0〜7.0に保ち尿酸結石の出現を防ぐ。また尿酸結石を防ぐため日頃より水分摂取を励行し、1日尿量を2,000ml以上にする。 アロプリノール アロプリノール(ザイロリック)はプリン代謝経路の最終ステップに働くキサンチンオキシダーゼを阻害する酵素阻害薬である。血清尿酸値の低下とともに尿中の尿酸排泄量も減少させるための尿路結石の治療にも有用である。腎不全の患者には酸化体のオキシプロノールが血中に蓄積して過敏性血管炎を起こすことがある。オキシプロノールも薬理作用があるため腎不全患者では減量が必要となる。重篤な皮膚粘膜眼症候群の報告もある。メルカプトプリン、シクロホスファミド、ペントスタチンの併用は注意が必要である。 腎機能アロプリノール投与量Ccr>50ml/min 100〜300 mg/day 30ml/min <Ccr≦50ml/min 100 mg/day Ccr≦30ml/min 50 mg/day 血液透析施行例 透析終了時に100mg 腹膜透析施行例 50 mg/day フェブキソスタット フェブキソスタット(フェブリク)はアロプリノールと異なるキサンチンオキシダーゼへの阻害様式を示し強力な阻害活性を有する。肝臓で代謝された後、糞便中、尿中にほぼ均等な割合で排泄されるため、腎機能が軽度から中等度低下している場合においても減量する必要なく、血清尿酸値の低下をもたらすことが可能である。重度の腎機能障害者に対して安全性は確立していない。抗がん剤ではメルカプトプリンとアザチオプリンが併用禁忌である。
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