小規模多機能型居宅介護とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > ビジネス > 新語時事用語辞典 > 小規模多機能型居宅介護の意味・解説 

小規模多機能型居宅介護

読み方:しょうきぼたきのうがたきょじゅうかいご

要介護、あるいは、要支援認定受けた人が、小規模多機能ホーム通ったり、宿泊をしたり、また、訪問介護受けたりできるサービスのこと。

小規模多機能型居宅介護は、要介護、あるいは、要支援が、可能な限り自立した日常生活を送ることができるように、2006年介護保険法改正によって誕生したサービスである。主に、居住地近く小規模多機能ホーム通いリハビリテーション認知症予防入浴などのサービスを受ける。また、自宅で過ごす場合には訪問介護を受けることもできる

小規模多機能型居宅介護

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 14:43 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

小規模多機能型居宅介護(しょうきぼたきのうがたきょたくかいご)とは、介護保険法で定めるサービスのひとつである。「小多機」と略されることもある。

概要

介護保険のサービス種別の中でも地域密着型サービスに分類され、「通い」を中心として、随時の「訪問」や「泊まり」を組み合わせて提供するサービスを一体化して運営している事業所である。 原則として要介護もしくは要支援の認定を受け、事業所が指定を受けた市区町村に居住する者に利用は限定される。また、事業所見守りや看取りにも対応している。

小規模多機能型居宅介護は、地域密着型サービスとして概ね中学校区ごとの設置を目標に整備が進められている[1]。 しかしながら、2011年時点では小規模多機能型居宅介護は期待通りに増えておらず、改革が必要とされている。[2]

定義

介護保険法第8条第19項[3]において小規模多機能型居宅介護は以下に定義される。

居宅要介護者について、その者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、その者の選択に基づき、その者の居宅において、又は厚生労働省令で定めるサービスの拠点に通わせ、若しくは短期間宿泊させ、当該拠点において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うこと

また指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(以下、地域密着型運営基準)の第62条[4]において

指定地域密着型サービスに該当する小規模多機能型居宅介護(以下「指定小規模多機能型居宅介護」という。)の事業は、要介護者について、その居宅において、又はサービスの拠点に通わせ、若しくは短期間宿泊させ、当該拠点において、家庭的な環境と地域住民との交流の下で、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者がその有する能力に応じその居宅において自立した日常生活を営むことができるようにするものでなければならない。

と定義される。

人員
従業者のうち一以上の者は、常勤でなければならず、従業者のうち一以上の者は、看護師又は准看護師でなければならない。ただしサテライト型に関しては看護師又は准看護師を配置しないこともできる(地域密着型運営基準第63条[5])。
登録者に係る居宅サービス計画及び小規模多機能型居宅介護計画の作成に専ら従事する介護支援専門員を置かなければならない。ただし利用者の処遇に支障がない場合は、当該指定小規模多機能型居宅介護事業所の他の職務に従事が可能(同63条)。
介護支援専門員は、別に厚生労働大臣が定める研修を修了している者でなければならない(同63条)。
指定小規模多機能型居宅介護事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。ただし管理上支障がない場合は、当該指定小規模多機能型居宅介護事業所の他の職務に従事が可能(地域密着型運営基準第64条[6])。
管理者は、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター等の従業者又は訪問介護員等として三年以上認知症である者の介護に従事した経験を有する者であって、別に厚生労働大臣が定める研修を修了しているものでなければならない(同64条)。
代表者は、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター等の従業者、訪問介護員等として認知症である者の介護に従事した経験を有する者又は保健医療サービス若しくは福祉サービスの経営に携わった経験を有する者であって、別に厚生労働大臣が定める研修を修了しているものでなければならない(地域密着型運営基準第65条[7])。
設備
登録定員は二十九人(サテライト型指定小規模多機能型居宅介護事業所にあっては、十八人)以下。
通いサービスは登録定員の二分の一から十五人まで(二十六人又は二十七人では十六人、二十八人では十七人、二十九人では十八人)。サテライト型は十二人まで。
宿泊サービスは通いサービスの利用定員の三分の一から九人まで(サテライト型指定小規模多機能型居宅介護事業所にあっては、六人)まで(以上、地域密着型運営基準第66条[8])。
指定小規模多機能型居宅介護事業所は、利用者の家族との交流の機会の確保や地域住民との交流を図る観点から、住宅地又は住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあるようにしなければならない(地域密着型運営基準第67条[9])。
運営
居宅サービス事業者その他保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者、主治の医師との密接な連携に努めなければならない(地域密着型運営基準第69条[10])。
利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行ってはならず、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない(地域密着型運営基準第73条[11])。
通いサービスの利用者が登録定員に比べて著しく少ない状態が続くものであってはならない。また登録者が通いサービスを利用していない日においては、可能な限り、訪問サービスの提供、電話連絡による見守り等を行う等登録者の居宅における生活を支えるために適切なサービスを提供しなければならない(同73条)。
指定小規模多機能型居宅介護事業所の管理者は、介護支援専門員に、登録者の居宅サービス計画の作成に関する業務を担当させる(地域密着型運営基準第74条[12])。また小規模多機能型居宅介護計画の作成に関する業務を担当させる(地域密着型運営基準第77条[13])。
指定小規模多機能型居宅介護事業者は、毎月、市町村に対し、居宅サービス計画において位置付けられている指定居宅サービス等のうち法定代理受領サービスとして位置付けたものに関する情報を記載した文書を提出しなければならない(地域密着型運営基準第75条[14])。
指定小規模多機能型居宅介護事業者は、登録定員並びに通いサービス及び宿泊サービスの利用定員を超えて指定小規模多機能型居宅介護の提供を行ってはならない。ただし、通いサービス及び宿泊サービスの利用は、利用者の様態や希望等により特に必要と認められる場合は、一時的にその利用定員を超えることはやむを得ないものとする。なお、災害その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない(地域密着型運営基準第82条[15])。
主治の医師との連携を基本としつつ、利用者の病状の急変等に備えるため、あらかじめ、協力医療機関を定めておかねばならない。また、協力歯科医療機関を定めておくよう努めなければならない(地域密着型運営基準第83条[16])。
指定小規模多機能型居宅介護事業者は、利用者に対する指定小規模多機能型居宅介護の提供に関する居宅サービス計画や小規模多機能型居宅介護計画などの記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない(地域密着型運営基準第87条[17])。

歴史

小規模多機能型居宅介護は、介護保険外サービスである託老所を参考に設定されたサービス種別である。宅老所は、大規模施設では落ち着けない、あるいは施設では受け入れてもらえない認知症高齢者に、1980年台半ばから日本全国各地で始まった民間の取り組みである。1998年の全国調査(宮城県実施)では、600か所の宅老所があると報告されていた[18]

在宅で365日24時間の安心を提供する切れ目のない在宅サービスとして、2006年4月の介護保険法改正に合わせて新設された。 派生したサービス種別に、2012年4月に新設され、訪問看護の機能を持たせた看護小規模多機能型居宅介護がある(ただし、要支援者は利用不可)。

2006年度改正

小規模多機能型居宅介護の創設

2012年度改正

小規模多機能型居宅介護

  • 事業開始時支援加算

複合型サービス(現在の看護小規模多機能型居宅介護)の創設

2015年度改正

小規模多機能型居宅介護

  • 基本報酬の適正化 同一建物への減算も導入。
  • 訪問サービスの機能強化
  • 登録定員等の緩和 従来25名が最大であったのが、29名まで拡大した。
  • 看取り期における評価の充実 看取り連携体制加算(新規)
  • 運営推進会議及び外部評価の効率化
  • 看護職員の配置要件、他の訪問看護事業所等との連携
  • 地域との連携の推進
  • 同一建物に居住する者へのサービス提供に係る評価の見直し
  • 事業開始時支援加算の見直し 廃止された。
  • 認知症対応型共同生活介護事業所との併設型における夜間の職員配置の緩和
  • 小規模多機能型居宅介護と広域型特別養護老人ホームとの併設
  • 中山間地域等における小規模多機能型居宅介護の推進

看護小規模多機能型居宅介護

  • 看護体制の機能に伴う評価の見直し
  • 同一建物に居住する者へのサービス提供に係る評価の見直し(小規模多機能と同様)
  • 登録定員等の緩和(小規模多機能と同様)
  • 運営推進会議及び外部評価の効率化(小規模多機能と同様)
  • サービス名称の変更 複合型サービスが看護小規模多機能型居宅介護と改称された。
  • 事業開始時支援加算の延長

2018年度改正

小規模多機能型居宅介護

  • 生活機能向上連携加算の創設
  • 若年性認知症利用者受入加算の創設
  • 栄養改善の取組の推進
  • 運営推進会議の開催方法の緩和
  • 代表者交代時の開設者研修の取扱い
  • 介護職員処遇改善加算の見直し

看護小規模多機能型居宅介護

  • 医療ニーズへの対応の推進
  • ターミナルケアの充実
  • 訪問(介護)サービスの推進
  • 若年性認知症利用者受入加算の創設(小規模多機能と同様)
  • 栄養改善の取組の推進(小規模多機能と同様)
  • 中山間地域等に居住する者へのサービス提供の強化
  • 指定に関する基準の緩和
  • サテライト型事業所の創設
  • 運営推進会議の開催方法の緩和(小規模多機能と同様)
  • 事業開始時支援加算の廃止
  • 代表者交代時の開設者研修の取扱い(小規模多機能と同様)
  • 介護職員処遇改善加算の見直し(小規模多機能と同様)

同時利用できるサービス

小規模多機能型居宅介護事業所と契約すると、他サービスの利用が制限される。同時に他の小規模多機能型居宅介護事業所と契約や利用する事も認められていない。尚、以下のサービスについては、同時利用が認められているが、全てのケアプランと給付管理は、契約した小規模多機能型居宅介護事業所のケアマネジャーが実施する。

出典

  1. ^ Baba Y. Case study: Developing comprehensive community care in Japan - urban planning implications for long term dementia care, Journal of Urban Design and Mental Health 2017;3:6
  2. ^ 第6回社会保障制度改革国民会議 - 資料4 社会保障に係る費用の将来推計について
  3. ^ 介護保険法 第一章 総則”. e-Gov. 2021年7月9日閲覧。
  4. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第六十二条 - e-Gov法令検索
  5. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第六十三条 - e-Gov法令検索
  6. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第六十四条 - e-Gov法令検索
  7. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第六十五条 - e-Gov法令検索
  8. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第六十六条 - e-Gov法令検索
  9. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第六十七条 - e-Gov法令検索
  10. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第六十九条 - e-Gov法令検索
  11. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第七十三条 - e-Gov法令検索
  12. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第七十四条 - e-Gov法令検索
  13. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第七十七条 - e-Gov法令検索
  14. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第七十五条 - e-Gov法令検索
  15. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第八十二条 - e-Gov法令検索
  16. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第八十三条 - e-Gov法令検索
  17. ^ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第四章 小規模多機能型居宅介護 第八十七条 - e-Gov法令検索
  18. ^ 宅老所・グループホーム全国ネットワーク https://www.takurosho.net

外部リンク



小規模多機能型居宅介護

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 06:16 UTC 版)

介護サービス事業者の種類」の記事における「小規模多機能型居宅介護」の解説

詳細は「小規模多機能型居宅介護」を参照 平成18年4月介護保険制度改正により創設された、地域密着型サービスのひとつ。介護が必要となった高齢者(主に認知症高齢者)が、今まで人間関係生活環境できるだけ維持できるよう、「通い」を中心に訪問」「泊まり」の3つのサービス形態が一体となり、24時間切れ間なくサービス提供できるのがその大きな特徴認知症高齢者による利用中心になるが、認知症有無問わず利用可能。 (利用定員)1事業所あたりの登録定員25名以下、「通い」の1日当たり定員15名以下、「泊まり」の1日当たり定員9名以下の利用出来るが、登録者しか利用できず、小規模多機能居宅介護登録者は他の介護サービスは、訪問看護福祉用具貸与訪問リハビリテーション以外は利用できない小規模多機能居宅介護登録者は、介護保険利用料包括的定額料金なので、介護度別に月額利用定額になり、利用回数包括的利用になり利用限度数も365日介護計画によって必要な回数利用できるだからと言って、他の介護サービス同様に利用できるということでなく、登録者25名で施設短期宿泊通所譲り合いながら利用する介護サービスとなっている。 25名の登録者のうち、同じ利用者長期宿泊ベッド利用して短期宿泊として目的なくしたり、介護計画必要性がないから宿泊者が一ヶ月居なかったりすると小規模多機能目的果たしていない場合がある。 利用料定額なので何回使えるが、他の登録利用者との譲り合いなど地域で暮らす付き合い出来ない利用しにくいサービス報酬低額な分、運営する法人少なく市町村によって事業所数もバラツキがあるのが現状

※この「小規模多機能型居宅介護」の解説は、「介護サービス事業者の種類」の解説の一部です。
「小規模多機能型居宅介護」を含む「介護サービス事業者の種類」の記事については、「介護サービス事業者の種類」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「小規模多機能型居宅介護」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「小規模多機能型居宅介護」の関連用語

小規模多機能型居宅介護のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



小規模多機能型居宅介護のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
新語時事用語辞典新語時事用語辞典
Copyright © 2025 新語時事用語辞典 All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの小規模多機能型居宅介護 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの介護サービス事業者の種類 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS