導光および分散適合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 15:06 UTC 版)
「シリコンフォトニクス」の記事における「導光および分散適合」の解説
シリコンは約1.1マイクロメートルを超える波長を有する赤外光に対して「透明」である。また、シリコンは約3.5と非常に高い屈折率を持つ。この高い屈折率によるきつい光閉じ込めにより、わずか数百ナノメートルの断面寸法を有することのできる微視的光導波路が可能になる。シングルモード伝播が達成され、それにより(シングルモード光ファイバのように)モード分散の問題を排除できる。 このきつい閉じ込めから生じる強い誘電境界効果は、工学分散関係を実質的に変える。導波路形状を選択することにより、超短パルスを必要とする用途にとって極めて重要な所望の特性を有するように分散を適合することが可能となる。特に、群速度分散(すなわち群速度が波長とともに変化する程度)を厳密に制御することができる。1.55マイクロメートルのバルクシリコンでは、長い波長のパルスが短い波長のものよりも高い群速度で移動するという点で、軍速度分散(GVD)は標準である。しかし、適切な導波路形状を選択することにより、これを逆にし、短い波長のパルスの方が早く進むという異常GVDを達成することが可能である。異常分散はソリトン伝播の前提条件であり、変調不安定性にとって重要である。 シリコンフォトニクスの構成要素が、それらが製造されるウエハのバルクシリコンから光学的に独立のままであるため、間に入る材料の層を持つことが必要である。これは普通、酸化シリコンであり、屈折率がはるかに低く(今回興味のある波長領域で約1.44))、それによりシリコン-酸化シリコン界面での光は(シリコン-空気界面での光のように)全内部反射し、シリコン中に残り続ける。この構成はSOI(Silicon on Insulator)として知られている。これは寄生容量を低減して性能を向上させるために部品を絶縁体(酸化シリコン)の層上に構築するCMOS LSI技術であるSOIにちなんで命名された。
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