射程、威力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 01:50 UTC 版)
二十五粍機銃の有効射程は2,000 m程度とされた。射撃は2,500 mから開始するのが最適であったが距離の判定はやや難しかった。打撃を加えられる目標は1,000 m以内を飛行する機体や急降下爆撃を行う機体であり、こうした近距離の目標には相当有効な射撃ができると評価された。ソロモン諸島のニュージョージア島ムンダやコロンバンガラ島の戦訓では、命中弾がなくとも操縦者に脅威感を与えた場合、正確な飛行と照準を妨げ、爆撃や銃撃を無効化できるとした。弾幕射撃は超低空奇襲または1,000 m以上離れた重要施設への攻撃に対して行うものであるが、これは敵機の前程に弾幕を張り、命中よりも脅威を与えるための射撃であった。弾幕射撃には、機銃や砲ごとにあらかじめ射撃諸元を測っておく下準備が必要だった。 威力としては、25 mm機銃弾はアメリカ海軍の採用した40 mmボフォース機銃弾と比較して弾量が25 %だった。単純に言えば4倍の命中弾で同等の破壊効果となるが、これでは発射数を増加しなければならない。一線部隊からも二十五粍機銃の威力の増加、弾数の増加、照準装置の改善が求められた。重巡洋艦利根は1944年(昭和19年)10月、レイテ沖海戦で連続3日間の対空戦闘を行った。この報告では、対空射撃中、射撃効果を最も上げられる時点で一弾倉15発を撃ち尽くす事が多く、弾倉容量を25発程度に増やすよう指摘している。また敵急降下機が急降下を始める前に先制射撃を加えなければ、投弾前の撃墜は難しかった。利根の対空戦闘で投弾までに撃墜した機はほとんど無く、「射線に捕まっても機体が火を噴かず、中々墜落せず」との所見が述べられている。撃墜には相当に濃密な弾幕が必要と評価された。射弾散布が大きいのは機銃員が焦燥のために精密な照準をせず、弾丸をただ出しているに過ぎないと指摘した。
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