審判の申立て
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 02:18 UTC 版)
判断能力が低下した場合、4親等内の親族、検察官や市区町村長等の申立権者が本人の住所地の家庭裁判所に対して、後見、保佐または補助開始を申し立てる。法律上は、本人の申立ても可能である。 本人の財産が親族等の第三者により勝手に処分されるおそれがある等、必要がある場合には裁判所の審判が出るまでの間に裁判所の命令により、財産の管理人をおくなどの「審判前の保全処分」が行われる場合がある。 申立ての際に申立書、財産目録、判断能力に関する医師の診断書等の書類の提出が求められる。弁護士による代理申立てや、司法書士による書類作成もみとめられている。ただし申立書などの書式は定型化されており、申立人が手続きについて分からないような場合でも家庭裁判所の職員(裁判所書記官等)の助言を得ながら書類を作成することは可能である。なお、弁護士・司法書士以外の者が申立書その他裁判所提出書類を作成又はこれらに関し相談することは弁護士法・司法書士法で禁止されており(弁護士法第72条、司法書士法第73条)、裁判所提出する目的であることが明らかな法定後見申立書類に添付する戸籍等の収集についても弁護士及び司法書士以外のものが業務としてできない以上、いわゆる職務上請求での戸籍等の収集取得は戸籍法違反ともなる。(行政書士が保佐開始申立書その他それに付随する書類を違法に作成したケースで平成21年2月9日札幌地方裁判所判決では司法書士法違反により有罪判決がでている)。申立ての費用としては申立て自体に1,600円分程度の収入印紙の貼付(申立て類型の組合せ等によって異なる)と裁判所により若干異なるが、郵便切手を4,000円分程度、登記費用4,000円程度の予納が必要となる。 申立てが受理された後、家庭裁判所が本人や後見人等候補者(いる場合)の面接などによる調査を行う。必要に応じて家庭裁判所の職員(家庭裁判所調査官等)は、裁判所外での面接を行う場合もある。調査が簡略化される場合もあるが本人の知らないところで勝手に申し立てられるなどの濫用を防ぐため、必ず本人の陳述を聞かなければならないと規定されている。実際には、調査官等の面談によって本人の意向が確認されている。東京家裁では申立時に本人及び後見人等候補者を同行させれば申立と同時に面接が行われる扱いになっており(即日面接)、日程の短縮が図られている。
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