冨山房とは? わかりやすく解説

冨山房

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/02 07:43 UTC 版)

有限会社冨山房
種類 有限会社
本社所在地 日本
101-0051
東京都千代田区神田神保町1-3
冨山房ビルB1
設立 1886年(明治19年)3月1日
業種 小売業
法人番号 5010001006932
代表者 代表取締役社長 坂本起一
関係する人物 創業者 坂本嘉治馬
外部リンク http://www.fuzambo.net/
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有限会社冨山房(ふざんぼう)は、1886年(明治19年)設立の日本出版社。戦前は博文館とともに大手出版社の1つだった。

沿革

主な出版物

児童書

近年の冨山房の出版事業は、児童書が中心となっている。なお、児童書は系列会社の「冨山房インターナショナル」(後述)でも出版している。

辞書

冨山房は、明治、大正期において、三省堂博文館と並ぶ、代表的な辞書出版社であったが、近年は評価の高い辞書のみ、当時のままに発行を続けている。

過去に発行していた主な辞書。

  • 国民百科大辞典
  • 日本家庭大百科事彙
  • 修訂 大日本国語辞典 - 上田萬年松井簡治
  • 修訂増補 大英和辞典 - 市河三喜、畦柳都太郎、飯島広三郎
  • 仏教大辞彙 - 龍谷大学編纂
  • カトリック大辞典 - 上智大学編纂
  • 修訂増補版 理科学辞典 - 冨山房辞典編集部
  • 邦楽舞踏辞典 - 渥美清太郎
  • 外来語辞典 - 荒川惣兵衛岡倉賞を受賞)

一般書籍

「プラトーン全集」

木村鷹太郎訳『プラトーン全集』全11冊、1903年から1911年刊。最初期のプラトン日本語訳。

「漢文大系」

中国古典の注釈書をまとめた叢書。1909年から1916年刊。1974年から1978年再刊。全22冊38書[2][3]

安井息軒論語集説』『管子纂詁』、太田全斎韓非子翼毳』、焦竑老子翼』『荘子翼』、竹添井井春秋左氏会箋』、孫詒譲墨子閒詁中国語版』などからなる。

服部宇之吉小柳司気太安井小太郎らが解題を担当している。

「模範家庭文庫」

「日本ではじめて着手された世界家庭文学の古典全書」を主張し、 「説話のおもしろいこと」「文章のやさしいこと」「挿画の多いこと」「装幀の美しいこと」 を特色とし、「家庭に咲出した幸福の花園」「地上に出現したこどもの天国」「大人たちも一緒にたのしめる世界の古典」「家内中が宝物にする善美第一のお伽画本」などの売り文句があった[4]、箱入りかつ天金(上の小口に金箔を張り付ける加工)がほどこされている 豪華な本で、1915年から1933年にかけ刊行され、第一集12冊、第二集12冊の計24冊となっていた。 装幀豪華さ、挿画の重用においても児童書出版の歴史の中に特記され、客間の装飾にも用いられたが、高価であったために購買者層が中流家庭以上に限られた。また文壇作家を登用した点で、のちの「赤い鳥」創刊の先駆けとなった[5]。なお、2023年に「日本童話宝玉集」(上・下)および「世界童話宝玉集」が冨山房インターナショナルにて復刻された[6]。24巻のうち、ファーブルの化学物語は重要な刊行である[7]

「百科文庫」

新書判の叢書で、1937年10月から1945年10月(120数点)には主に主要な古典文学と随筆のうち、絶版もしくは忘れられがちなものを、1977年8月から1996年6月(50数点)にかけ翻訳古典の新訳や日本の奇特な文学作品を軸に刊行された[8]。また、2025年4月16日に約30年のブランクを経て新刊「イーリアス」(ホメーロス土井晩翠訳)が上下巻で刊行された。[9][10]

下記は2期の主な刊行書籍(近代文学のみ)。

その他の翻訳書

関連会社

株式会社 冨山房インターナショナル

1993年に創設した子会社。かつて冨山房から刊行された書籍の復刻を含む出版のほか、印刷、学校内書店経営、学校用品販売なども行う。

書店

その他

  • サロンド冨山房FOLIO - 冨山房ビルB1Fで同社が経営している喫茶店
  • 組版のしかたに、冨山房ルールがある。

脚注

  1. ^ 孫の坂本嘉廣は宿毛市名誉市民。東京宿毛会も支えている。
  2. ^ 冨山房. “漢文大系解説”. fuzambo.net. 2024年9月15日閲覧。
  3. ^ 湯浅邦弘 編著『中国思想基本用語集』ミネルヴァ書房、2020年。ISBN 9784623087365 296頁。
  4. ^ OdaMitsuo (2020年2月13日). “古本夜話994 冨山房「模範家庭文庫」と瀬田貞二『落穂ひろい』”. 出版・読書メモランダム. 2025年1月5日閲覧。
  5. ^ nakakoto (2024年7月18日). “模範家庭文庫”. 中島孤島の軌跡. 2025年1月5日閲覧。
  6. ^ nakakoto (2024年7月25日). “模範家庭文庫の復刻”. 中島孤島の軌跡. 2025年1月5日閲覧。
  7. ^ 5. 新訳絵入科学物語(模範家庭文庫)|東京都立図書館”. 東京都立図書館. 2025年1月5日閲覧。
  8. ^ 冨山房百科文庫』冨山房https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN00337575?p=1 
  9. ^ イーリアス 下 新装版 (冨山房百科文庫 ; 55) | NDLサーチ | 国立国会図書館”. 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ). 2025年8月2日閲覧。
  10. ^ 百科文庫解説”. fuzambo.net. 2025年8月2日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク





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