宿主の選び方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 14:05 UTC 版)
組換えタンパク質を生産させる宿主には大腸菌、酵母、昆虫細胞、哺乳類細胞を用いることが多く、実験室レベルでは操作の容易さから大腸菌が第一選択肢となる場合が多い。 真核生物由来の遺伝子を大腸菌などの原核生物で大量に発現させたい場合には、大腸菌で使用頻度の低いコドン(レアコドン)によるボトルネックを解消しなければならない場合がある。その場合、レアコドンに対応するtRNAを大腸菌に補充するか、ベクター側の遺伝子配列のレアコドン部分を別のレアでないコドンに同義置換する(例えばアルギニンをコードするレアコドンAGAをCGCに変える)ことで対応する。コドン使用頻度は生物種によって異なり、公益財団法人かずさDNA研究所にてデータベースが公開されている。 また、真核生物由来の遺伝子の場合、翻訳後修飾の有無により、組換えタンパク質が本来の酵素活性を持たない場合がある。そういった場合には、大腸菌よりも酵母や昆虫細胞、哺乳類細胞などの真核細胞で発現させることで、より生体に近い活性を持った組換えタンパク質が得られる場合がある。なお、同じ真核細胞でも例えば昆虫細胞と哺乳類細胞では糖鎖修飾で働く酵素の活性や経路に違いがあるためアスパラギン側鎖の糖鎖修飾に違いが出る場合があり、宿主の選択は慎重に行う必要がある。 さらに、外来タンパク質生産量は一般的に原核細胞>>真核細胞となるため、目的に応じた宿主細胞の選択が重要である。 生きた細胞を直接利用しない無細胞タンパク質合成系という方法もある。
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