宿主細胞への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 00:28 UTC 版)
ウイルスは、宿主細胞に対して広範な構造的・生化学的影響を及ぼす。これらは細胞変性効果と呼ばれている。ほとんどのウイルス感染は、最終的に宿主細胞の死をもたらす。死因には、細胞溶解 (破裂)、細胞の表面膜の変化、アポトーシス (細胞の「自殺」)などがある。多くの場合、細胞死は、ウイルスによって産生されたタンパク質による正常な活性の停止によって引き起こされるが、そのすべてがウイルス粒子の成分であるとは限らない。 ウイルスの中には、感染した細胞に明らかな変化をもたらさないものもある。ウイルスが潜伏している (不活性である) 細胞は、感染の兆候をほとんど示さず、しばしば正常に機能する。このため、持続的な感染を引き起こし、ウイルスは多くの場合、何ヶ月または何年も休眠状態にある。これはヘルペスウイルスの場合によく見られる。 エプスタイン・バール・ウイルスなどの一部のウイルスは、悪性腫瘍を引き起こすことなく細胞を増殖させることがよくある。しかし、パピローマウイルス(英語版)などの一部のウイルスは、癌 (がん) の確立された原因となるものもある。細胞のDNAがウイルスによって損傷を受け、細胞が自己修復できなくなると、しばしばアポトーシスを引き起こす。アポトーシスの結果の一つは、細胞自身による損傷したDNAの破壊である。一部のウイルスには、子孫ウイルスが生成される前に宿主細胞が死なないようにアポトーシスを制限する仕組みを持っているものががある。たとえば、HIVはこれを行う。
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