実在への疑問と可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/11 00:27 UTC 版)
「狼少年 (野生児)」の記事における「実在への疑問と可能性」の解説
オオカミが人間の乳児を育てる事は下記のような理由によって否定されている。 オオカミの乳汁の成分は人間のそれと甚だしく異なっており、人間の乳児が消化吸収することはできない。 オオカミの子は人間よりはるかに早く成長し、授乳期間も短いので、母オオカミの母乳の分泌も早期に止まってしまい、人間の乳児が成長するまで授乳する事ができない。 また、オオカミが人間の幼児を育てるには下記のような問題があると指摘されている。 人間は直立2足歩行が本来の移動方式であり、両手両足をついての4足歩行では不安定で速度も出ない。また2本足で立って走っても、オオカミの移動速度よりはるかに遅く、ついて行けない。 人間は昼行性の動物であり、また先祖が樹上生活をしていた事もあって、視力は非常に優れているが夜間は目が見えず、嗅覚もオオカミよりはるかに劣る。従って、乳幼児期をうまく生き延びてある程度自由に歩行できるようになったとしても、夜の森林中を嗅覚や夜目を用いて高速で移動するオオカミに随行するのは不可能である。 ただし、報告例の多いインドに棲息していたオオカミは正確にはヨーロッパ種(C.lupes lupes)ではなく、近縁の(C.lupes chanco)および亜種であるインドオオカミ(C.lupes pallipes)とされている。chanco種であるオオカミは、遺伝子レベルの研究の結果、イヌの起源であったと結論されている。またインドオオカミは特に環境適応能力が高いことが報告されている。 『オオカミ少女はいなかった』の著者である鈴木光太郎は、2001年にチリで見つかった、野犬の群れと共生していた少年の実例をあげて、アマラやカマラがオオカミたちと共に行動していた可能性までは否定していない。
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