官房学者としての業績
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 15:47 UTC 版)
「ヨハン・ベッヒャー」の記事における「官房学者としての業績」の解説
ベッヒャーは三十年戦争後の荒廃したドイツ・オーストリアの復興に際してオーストリア政府に改革の提言を行っており、官房学の分野でも活躍している。 彼は共同体を重視し、国家における共同体には、農民・職人・商人からなる生産階級と、官僚・軍人・聖職者・知識人・医師・理髪師・浴場主などを含む共同体の奉仕者たちからなる不生産階級という2種類の階級があるとし、なかでも不生産階級は公共の奉仕者であって、共同体によって報酬が支払われ、その規模は人口に比例する程度に留まらなければならないとした。また全階級は消費の必要性によって互いに結び付けられ、消費が共同体精神を生きた力にする唯一の紐帯であるとも考えていた。 一方でベッヒャーは商業の育成にも関心を持っており、政府の施策を重視していたことが窺える。 「共同体の生活を破壊する」外国からの輸入品に対して、彼は国内産業の保護を提唱し、最も有害な状態として、独占(Monopolium)、産業的無政府状態(Polypolium)、高利(Propolium)の3つを挙げている。すなわち独占は過剰な利益を得ることで他の人々の生計を容易に可能とするはずの資源を奪い取り、無制限の営業の自由と産業的諸領域の分裂は人々の生計の維持を妨げて貧困へと追いやり、高利と借金返済の不履行は販売者と購買者の不和を急速に引き起こして共同体の一体性を破壊するとして、これらの望ましくない影響を食い止めるために、ベッヒャーは政府による監督と規制を提唱し、また政府が後援し、監督する商事会社の設立を提案した。 さらに彼は最低価格を保証するための、政府の農産物貯蔵という構想を提案し、また経済政策は政府・商人・製造業者の代表、農民の代表者からなる団体評議会によって指揮されるべきものとしていた。 これらの政策に関する彼の諸提言は、オーストリア政府の政策決定にかなりの影響を与え、彼の著作は概してすべての後続のドイツ官房学者たちに、とりわけ彼の義弟フィーリプ・ヴィルヘルム・フォン・ホルニクに影響を及ぼすこととなる。
※この「官房学者としての業績」の解説は、「ヨハン・ベッヒャー」の解説の一部です。
「官房学者としての業績」を含む「ヨハン・ベッヒャー」の記事については、「ヨハン・ベッヒャー」の概要を参照ください。
- 官房学者としての業績のページへのリンク