学位取得による免除
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 04:09 UTC 版)
改正前(平成14年3月以前) 2002年(平成14年)3月以前において大学院の修士課程又は博士課程に進学し、法律学又は財政学に属する科目に関する研究により学位を授与された者には税法に属する科目の試験が、商学に属する科目に関する研究により学位を授与された者には会計学に属する科目の試験が免除された。 このため、法律学又は財政学の修士の学位を取得し、さらに商学の修士の学位を取得することで、税法に属する科目及び会計学に属する科目の両方の試験が免除されるため、無試験で税理士資格が取得できる(いわゆる「ダブルマスター」)という制度になっており、「税理士試験の抜け道となっている」との批判があった。また、学位論文の学問領域が税法や会計に関連しない領域であっても免除されることになるため、これらの問題の解消のために試験科目の免除制度の見直しが行われた。 改正後(平成14年4月以後) 2002年(平成14年)4月1日以降に大学院に進学し、税法又は会計学に関する修士の学位を取得した者は、税理士試験でそれぞれに属する科目を1科目合格した場合において、それぞれに属する残りの科目が免除される(同法第7条第2項及び第3項)。 修士の学位を取得したことにより試験免除を受けようとする者は、その研究が税法に属する科目等又は会計学に属する科目等に関するものであることについて、国税審議会から認定を受ける必要がある(同法第7条第2項及び第3項)。この認定を受けるための申請には、申請前に申請する分野の試験科目の1科目を合格している上で、「研究認定申請書」又は「研究認定申請書兼税理士試験免除申請書」等の書類を提出しなければならない(同法施行規則第2条の4第2項及び第3項、第3条第2項)。 研究の認定についての基準は、2001年(平成13年)12月25日の国税審議会会長名の公告により、認定の基準を定めている。この公告によれば、申請に係る科目を4単位以上修得すること、学位論文等が申請に係る科目に関するものであることの2つが基準とされている。なお、認定の適否は研究科等の名称により決まるものではなく[50]、指導教授の専門分野は論文審査の際に参考とされる。 慶應義塾大学理工学部高橋正子研究室による先行事例認定確立以降、理工系の大学院生の修士論文も研究の認定となっている。 平成14年改正後税理士法の「学位による試験科目免除」制度に基づく認定を国税審議会から受けた。これは理系大学院生にとって以後税理士への道を拓く画期的な先行事例となるものである。 そして、国税審議会の認定を受けた場合において、合格した1科目以外の税法に属する科目又は会計学に属する科目について合格したものとみなされる(同法第7条第2項及び第3項)。 また、博士の学位による免除申請の手続は、税理士法改正前の試験科目免除制度と同様であり、税法に属する科目等に関する研究又は会計学に属する科目等に関する研究により博士の学位を取得した者は、国税審議会に免除申請を行うことにより、税法に属する科目又は会計学に属する科目の試験が免除される(同法第8条第1項第1号及び第2号)[54]。
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